投手のモーションに合わせる
昨日東京の部屋に戻ったが、熱が少し出ていたので大事をとって寝る事にした。
熱があるから、直ぐに眠った。
起きたり眠ったりと、布団の上でゴロゴロしている時、暇だからTVをつけた。
黒柳徹子さんの「徹子の部屋」に大リーガーの大谷選手が日ハム時代に出ていたのが映されていた。
何気なく見ていると、徹子の部屋に出た過去の野球のスター、と銘打って長嶋選手や王選手が出ていた。
王選手の時、思わず飛び起きた。
とんでもない話題だったからだ。
王選手のトレードマーク的な「一本足打法」の話だった。
しかも、その打法は自分自身がホームランを打つ為の「身体のタイミング」を作り出す為の、という話ではなかったのだ。
私は、「一本足打法」は、「身体のバランスを崩す」とか「体重移動でバットに体重を乗せる為」というような技術的な何かだと思い込んでいた。
もちろんそれは、その当時の話であって忘れてしまっている事だった。
その後も、「一本足打法はバランスを崩す為」が頭に完全にこびり付いていた。
黒柳さんが、その「一本足打法」の質問をした。
すると王選手は、まず「その一本足打法をするようになってから、面白いようにボールがバットに当たるようになり、腕も伸びるのでホームランになるようになったのですよ」といい、一本足打法の効用を説いた。
続いて「どうして、ボールが当たるようになったのですか?」という主旨の質問に「片足上げているでしょう、あれは投手のモーションと合わせているのですよ、だから投手がモーションを起こしたら一緒に片足を上げ、足を降ろしたら降ろすのです。だから当たるのですよ」
もちろん、黒柳さんに専門的な事は分かる筈も無いので、恐ろしくザックリとした表現だったが、投手の投球フォームに合わせる、という言葉を初めて聴いた。
【1977(昭和52)年 巨人の王貞治選手が通算756号ホームランを達成。ハンク・アーロンの米大リーグ記録を抜いて当時の世界最多本塁打記録を樹立した】
王選手の風貌を考えると、引退されてから「徹子の部屋」に出演した時のものだろうと思う。
私は野球をやったことが無いので、専門的には分からない。
しかし、「投手のモーションに合わせる」という言い方は、その後も含めて初めて耳にしたから、驚いて飛び起きたのだ。
もしかしたら、野球で言えば余りにも当たり前なので、言葉にしていないのかもしれないが、どうなのだろう。
それは別として、相手のモーションと同期、あるいは同調させる、というのは、日野武道研究所では基本的な稽古にしているからだ。
言葉では、一般の人も「同調」とよく使っているが、それがどれ程難しいかは、ほんとに取り組んでいないから分からないだけだ。
日常の忖度関係では、白か黒かは分からない。
しかも、武道の場合は相手を選ばずだから相当難しい。
余程、気持ちが静かにならなければ同時もズレも分からない。
これはワークショップでも行っているから、「同調ってどんなこと?」と体験は出来ないけど稽古は出来る。
体験が出来ないというのは、稽古を重ねていない人には「何をやっているのかを感じ取れない」から仕方が無いのだ。
でも、東京のワークショップで2年(1年に2回だから4回)間ワークショップに参加している青年が、この同調を成功させた。
その回は、2人同時に成功させている。
だから、自分で「工夫する・考える」という事、「自分の何が間違っているのか」に向かい合える人は諦めさえしなければ出来る、かもしれない。
2025・1月31日から2月2日は新春大阪ワークショップは阪神野田の近くです。