格闘技・武術・パフォーマー他、身体を使っている人、身体に興味のある人に

・身体を意識すると筋肉は緊張し能力は落ちる
・意識の散漫や途切れは能力を落とす
・身体全体を柔らかく使えば能力は増す
・上半身の柔軟性が身体能力を高める
・第7胸椎から第1胸椎の連動と骨盤を連関させると力を自由に出せる
・イメージが全てのキーワード

「身体を使う」というのは頭で動きを考えずに、そして作らずに「身体感覚を使う」ことです

身体塾では運動をするのではありません。
また、新しい動きを覚えて帰るのではありません。
身体は、常にオートマチックに動いています。
よく冗談で「ムカデは足を動かす時、一つずつ考えてはいない」という通り、人も「身体を動かそう」とは思っていません。

「では腕がねじれているのを感じてみて下さい」というような指示を出します。
自分の身体ですから、誰でも感じられる筈です。
しかし、ここにトリックがあります。
それは「感じると『思う』」というトリックです。
その方向に思考が働いてしまうのです。

私達は、病気で身体のどこかに異常がある時、あるいは怪我をして異常がある時にしか、自分の身体を「感じている」事はありません。
実は、その「感じる」ことこそ、身体の持つ働きを発揮させるキーワードなのです。
冒頭で書いた「運動するのではない」というのは、このことなのです。

自分の身体を感じ取り、本当の意味での自分の身体にすること。
それが「身体塾」の目的です。
 

当然、アスリートであれば、より力を発揮でき、またダンサーであれば、より美しく、あるいは、よりしなやかな動きを創出させられるようになります。
もちろん、オリジナルな動きが自動的に表出されるようになるのです。
何故なら、頭で作らずに「身体感覚を使う」からです。

身体塾のワークとは?

身体を動かしてはいるが使ってはいない?

一言で言えば「身体の持つ可能性を引き出す」ためのワークです。それは、身体の持つ働きを十分に使うということです。

身体は単純な筋肉の伸縮運動だけで、様々な力強さや速さを競うスポーツや、美しい動きを見せるダンスやパフォーマンスを行います。もちろん、日常生活全般も、同じ伸縮運動をしています。

つまり、単純な伸縮運動の組み合わせが、複雑な動きを生み出している、ということです。
ですから、複雑な動きを生み出す為には、単純な伸縮運動をより効率的に行わなければいけない、ということになります。

​ざっくり言うと、基本的に身体から「力」を出す、動きをスムーズにする、動きを美しくする為のワークです。身体は、筋肉の収縮運動が基本で動きが生まれます。ですので、とにかく筋肉を伸ばすことが、ワークの全体だと思って下さい。

そこで、まずその中心になるのが「胸骨操作」です。

ここには二つの意味があり、一つは胸骨の1点を感覚できる、一つはその1点から動きを生み出すという事です。

動きの目的は、背中が伸びる、胸部が伸びる事です。これらの動きで、相当上半身が楽になります。で、胸骨を感覚し動かします。そして、その動きを8の字に動かします。この時には、腹部のストレッチやインナーのストレッチが動員され、どんどん上半身を柔らかく使える状態になっていきます。

そして、次の大きな要素「連動」です。

これは、胸骨の1点を感覚するのと同じで、膝の1点、次が難しく、両太ももを線で感じ、下腹部から腹部、胸骨へと感覚を繋げて行きます。まずは、運動を覚える事からで、膝を突き出しバランスを崩すことで、身体はバランスを自動的に整えようと動きます。

それに合わせて、膝→骨盤→腹部→胸骨と、ダンスのウエーブのように動くのが入り口です。

こういった「からだのワーク」を、組稽古で行う事で、完成させていきます。一般的には、どんなことでもやる事、例えばダンス、例えばスポーツとした時、それの準備運動的なものやストレッチがあります。また、筋力を上げたり、柔軟にするストレッチがあります。しかし、身体をどう動かすのが効率的なのか、つまり、身体そのものの持つ働きを生み出す為のトレーニングはしません。簡単に言うと、「全身を使う」という言葉はありますが、全身を使う為のトレーニングはしないし、それは見た事がありません。

また例えば、腕を主に使うジャンルであれば、胸骨と肘を意識的に使え、尚かつその柔軟性に特化するトレーニング。足を使うジャンルであれば、膝や股関節を意識でき、胸骨から連動させるトレーニング。という、身体の働きを引き出すトレーニングが必要なのです。その為に3つの重要な要素があります。

「胸骨操作」
いまやヨーロッパでは、キョウコツという日本語が通じるほどダンサーや武道家の間では一般的になりつつあります。胸骨の一点を感じ取り、それを操作することで背骨が動くようにします。それが腕や足に繋がり、全身運動になるように身体を作り変えます。

「連動」
どんな動きでも、身体全体を繋げて使います、つまり、全身を、そして身体を連動させるのです。そのことで美しい動きと同時に、力を出したりスピードを出したりします。故障の無い身体を作ります。

「感じる」
単純な動きから身体を感じ取り、感じ取った部位を辿ることで、本当の身体イメージを作り出します。感じる、とか、イメージするという言葉はどこにでもあります。しかし、どこにでも有るからと言って、正しく使われているのではありません。大方の場合、感じると思う、感じていると思う、であり、イメージしていると思う、であって、本当ではありません。ですから、それら感覚もイメージも実際には使われていないのです。感覚もイメージも、実際にトレーニングすれば、それは、自分のジャンルで使えるようになり、実際として役に立つ力の一つになるのです。

身体全体を「連動」させて使う事を目的としています

外部からの刺激で運動を作っていく

チーターやヒョウのような滑らかな動きと、その前脚に備わった「力」は、動物特有の動きである「全身の連動」が作りだしているのです。人間も動物ですから、当然「全身の連動」が基本的な、そして、完成された運動であるはずなのです。

それは、例えば、上半身だけを主に使う「アームレスリング」から、下半身が重要な要素を持つ「マラソン」まで、「全身の連動」がスムーズに行われるからこそ、結果として合理的な運動を生み出し好結果をもたらすのです。「全身の連動」に関しては一切の例外はありません。なぜなら、「人間(動物)身体」だからです。

ですから、スポーツ競技や身体を使ったパフォーマンス(ダンス・バレエ・役者他)をしている方は、そのスポーツ固有の、そのジャンル固有のトレーニングと、もう一つ絶対に欠かせないトレーニングがここでいう「全身の連動」を作りだすトレーニングなのです。逆に言えば、全身を連動させて働かせない人は、スポーツでも芸術でも一級品にはなれない、という事です。

ねじれからの連動

基本的には、足から膝、骨盤、背骨という「直線的な連動」と、左手から上半身・下半身を経過しての右足までの「螺旋での連動」を稽古します。身体の全身運動は、この二つの組み合わせで出来ているからです。いくら複雑に見える運動も、この二つの組み合わせしかありません。

最初は、骨格を基本として体感し、徐々に関節から関節までの距離を緻密に体感出きるようにします。
また、任意の部位から、例えば腹部から手へ、腹部から両肩へ、それぞれの逆、頭部から腹部へ他、工夫できる限り肉体を細分化したり、切り取ったりと体感し、自分から見た時に客観的な肉体(コントロールできない肉体)から、コントロール可能な肉体へと成長させます。ここでの重要なポイントは、「動いていると思うことではなく」「刺激を感じていると思うのではなく」刺激を直接感じ、その刺激を順序良く体感し身体に記憶として留めることです。


ねじれでの連動
手首・肘・肩・反対側の肩・胸部・腹部の順で刺激を感じる。戻りは、これの逆になるが、例えば腹部から戻るとき、その次の胸部から先は動かさない。当然、入りも同じで次の部位を動かさない。


連動の検証
手首を外側に捻じり、胸部の開きを連動させる。胸部の開きを使い背骨を上から順に腰まで連動させる。腕を二人に押さえられているから、連動の戻りが腰から背骨を伝って腕に届いたかどうかが分かる。


自我が運動の邪魔をする
上記のレッスンを通して、本当に連動が出来ているのか出来ていないのか、を、様々な身体の部位に、例えば手に、足に、腹部に、頭に、腕にと外部から負荷(圧力)を掛けることで、任意の連動状況を検証していきます。

例えば、両方の腕をそれぞれ力一杯握ってもらいます。結果は握っている人を後に動かすのですが、それを直線の連動を使い行います。そこに現れるのは、握られている部位に対しての「クセ的反応」と「心理的反応」です。

クセ的反応は、握られている部位を無意識的に「解こう・離そう」としたりです。
心理的反応は、握られている刺激に対して「嫌だ・くそー他」といった嫌悪感、つまり「不快感」が現れます。
もちろん、この心理的反応があるから運動としてクセ的反応が現れるのですが、ここでは説明上分けただけです。ここでの目的は、そのクセ的反応と心理的反応を成長させるところにあります。

この二つの反応を成長させない限り、チーターのようなしなやかな身体、人としてのしなやかな身体を手に入れることは出来ません。つまり、「意識的な運動」は、「身体を束縛する」からです。

全体の動きが大切

三つの運動を組み合わせた「形」を憶えます。
この「形」に、先程の直線と螺旋の連動、そして、身体運動の重要な要素の「体重の移動」が入っていますが、それを自分自身で「全身として」感覚化させていく事を目的とします。

連動を色々なパーツに分けて稽古しますが、それが身体全体にならなければ意味がありません。ですから、自分のレベルなりにこの「形」を考えて感覚を通して、一つの形に仕上げていくのです。

完成された「形」は、身体のどの部位が意識されているか、どの運動を印象付けたいか、という要素も入りますので、表現にかかわる方には必須です。もちろん、この「形」も外部から刺激を加え、完成度をましていくという作業も含まれています。

足から上半身への連動
・相手を感じる
片側が手のひらを上に向け、片側がその手のひらの上に手を乗せる。下側のリードにしたがって上側の人が出来るだけ全身を使って動くのだが、手のひらの接着部位は決して動いてはいけない。

・外部からの刺激が運動を作る
自分自身が考えたり、イメージ出来る範囲は限られています。
という事は、自分自身だけのアイディで作り出した「身体運動は限界性を持っている」という事になります。

であれば、どうするのがその限界性を突破させてくれるのか?ですが、それは、他者からの具体的刺激を身体に受け、その圧力や心理的動揺を感じそれ等に「抵抗しないように身体を動かす」、ということをすればよいのです。

例えば、こちらの後に相手が立ち、後の人は後から前の人の両腕を掴みます。そして、後の人は相手を捩じったり、前後左右にゆっくりと動かします。そのことで、動かされる人は「自分自身の動きのどこに角があるのか(引っ掛かり)」を知ることが出来、そこを突破することで身体の自由性が一歩前進する、という事です。又、後の人も前の人も「相互に触れている」ので、その触れている部位に注意を向けることで、身体感覚を高めることが出来ます。

お問い合わせ・見学のお申込み・道場に関するご質問は下記フォームからお気軽にご連絡ください