アホの時間
土曜日は、代替稽古だった。
大阪や東京の「明鏡塾」があるから、日曜日は師範代の稽古が多い。
だから、時間がある限り別の曜日に代替稽古をする。
もちろん、急に決めたりするので参加者は少ない。
その分、稽古の密度が濃くなるし、参加者も口頭での注意を聞く事で、個人の稽古の密度が高くなる。
その代替稽古で、組稽古をした。
日頃やらない稽古だ。
一つの組が出来ないので、二人で問題を探っていた。
隣で別の組は出来て来ていた。
出来ない組みは、その出来る組を観察している。
この図式が理想だ。
他を見る事、他と比較する事で、自分達は何が原因で出来ないのかを探り出す為だ。
しかし、出来ない組をみていると、どうも出来て行くようには見えない。
「どうして?」と考えた。
出来ない二人は、その原因を一つに絞っていたからだ。
どちらがリードしたのかは分からないが、○○が原因ではないか?と発言し、もう一人もそれに同調した。
だから、二人とも出来ない原因を無意識的に○○だと思い込んでしまっていたのだ。
そうすると、出来ている組を見ても、自分達の原因としているヵ所しか観察しないのだ。
それでは、いくら出来ている見本を見ても役に立たない。
人はそれぞれに見ているものが違うのだが、この例は非常に分かりやすいものだった。
思い込んでいる時間を「アホの時間」と命名した。