出会いが決めるが

お盆明けから空手のインターハイが始まる。

今日は、高校空手部の監督が陣中見舞いに来てくれた。

「先生、空手部が出来て約20年になります」「ええ~、そうか、そうなるわな」
当初は、本当の空手を指導したいと意気込んで空手部を作ったが、子供達が3年しか学校にいない事を考えると、思い出に残る競技の方が良いだろうと方向を変えた。

今では、県下一の強豪校になっている。
空手で大学からの誘いも来るようになった。
そこから優秀な人材が育っているのを聞いて驚いた。

それは、従来なら、つまり、旧態依然とした時代風潮なら、絶対に浮かんでこないような子が浮かべるチャンスがあるのが現代だからだ。

エピソードの一つに、原付の免許を4回も落ちている子がいた。
物凄く素直で熱心で人間的には文句の付けようがない子だったそうだ。

卒業まじかになり、進路を決めかねていた。
絵が好きなのでそちらに進みたいという。

美術の先生は、絵の基礎が無いのでその道で生きて行くのは難しいと、専門学校を進めたそうだ。
空手部の監督は、その子を絵を見た時、確かに下手糞な線で表情を描いたアイコンのようなものに魅力を感じた。

よく見ると稚拙な線だが、「これは誰を書いている」という事が良く分かったという。
それに気付き「お前は大学へ行け、そこなら好きな奴が一杯いるから、何か出会いがあるか分からないから」という言葉を素直に聞き大阪芸大に入った。

その数年後、ひょっこり職員室にその子が顔を出した。

「先生、独立して会社を起こしてそろそろ年商3億です」と。
「ええ~~、そんなやり方を知っていたのか?」「全部教えてもらいました」だそうだ。

その空手の監督がその絵を見た事、その感性が豊だったこと、その子が素直だったこと、これらが一つのエピソードを作り出したのだ。

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