共通点を見付けるのが得意だ
ドラムを職業としていた当初気付いたのは、スローテンポ、ミディアムテンポ、アップテンポは、極論はそれぞれに奏法が違う事だ。
ミディアム、つまり、普通くらいのテンポを速く叩いても、アップテンポにはならないのだ。
その意味で「アップテンポの叩き方」があるという事にしたのだ。
これは歌手の裏声と地声のような違いだ。
地声から裏声にどう繋げるか、それだけでも相当の工夫が必要だ。
同じようにアップテンポの叩き方を習得し、アップテンポを自在に叩けるようになったらミディアムとの繋ぎになる。
当初このアップテンポは、どれほど工夫をしたかは分からない。
独学で取り組んでいるので、それは仕方が無い。
とにかく力技で、「速く」をやっていた。
そんなある時「あきら君、アップテンポはこうすればええんやで」と、当時、関西ジャズシーンでは右に出るものがいないドラマーに教えて貰ったのだ。
但し、夢の中でだ。
俗にいう「夢枕に立って」だった。
「なんやこれ?」と思う間もなく目を覚まし、ドラムセットに座り教えて貰ったように手を動かした。
夢中で夢の中の像を追いかけた。
もちろん出来ない。
この時、朝6時から夕方6時前まで夢中で練習をしたのを思い出す。
しかし、叩けるようになる迄にどれほどの時間がかかったかは覚えていないが、相当かかったように思う。
この体験は、武道身体の稽古をするのに相当役立っている。
身体へのアプローチも、ドラムのスティック操作と同じだ。
もちろん、これは当たり前だが「結果論」だ。
ある一つの型をゆっくりと稽古をする。
それは流れを掴む為、型の角を取る為だ。
最初のゆっくりは、型を覚えるという要素が主だが、覚えて来ると流れになる様にする。
同時に胸骨操作や纏絲勁系を行う。
この同時に2種類の運動をする、という発想は「時間が足りない」からだ。
普通に稽古をしていると1日は24時間としてしか使えない。
これは効率が悪すぎるので、身体運動の要素と、使い方としての「型」を別々に稽古するのが一番だと気付いたのだ。
