このメールが届く頃には、わたしは灰になって

先日、友人の訃報が別の友人を介して届いた。
洒落た奴だった。

亡くなった時も洒落ていたようで「ちょっと驚くかもしれませんが、このメールが届く頃にはわたし灰になって宇宙を彷徨っています」と書かれていた。

大阪難波宮の近くで花屋さんを営み、自らはフラワー・アレンジメントの仕事もしていた。
大きな仕事も手掛けていて、その道では結構有名になっていたようだ。
店もかなり凝っていて、カフェか何屋さんか分からない風だった。

大阪で時間の余った時は、よくそこで彼と談笑し時間を潰したものだ。

また、彼は白洲次郎の生き方に憧れていて、「葬式無用・戒名無用」それに加え「埋葬無用」と遺言していた。
遺灰は何でも一度やりたかった宇宙葬をした(一度しか出来ないが)。
といっても、直径2m程の風船に細かく砕いた骨を入れ、ヘリウムを詰めて高度30㎞~50㎞で風船が膨張し破裂、宇宙に散骨されるというものだ。

さすがに、この発想を私は持っていなかったから感心した。

肺がんからリンパへの転移、しばらくして脳腫瘍、コロナ感染という約5年間の経過だったそうだ。
入院していた時は、医師や看護師に良くして貰い、不思議に不安感や恐怖心は無く快適な入院生活だったそうだ。

不安が無い分頭は逆に冴えていたので、やり残している事を一つ一つ処理をし、このメールも準備できた。
洒落た奴は最後まで洒落ていた。

没年65歳、丁度私よりも10年若い。
それこそ見事な終活をし、それを実行した。
ある意味で理想の終末の一つだと思った。

先日の大阪の稽古で、ひどい立ち眩みに襲われた。
立ち眩みは、かなり頻繁にあるので何とも思っていなかったが、この時は、ほんの一瞬気を失ったような時間があった。
もしかしたら?と妻に言うと「それは、疲れていただけや」残念

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