仕事とは、「私そのもの」だから充実しているのだ。

「生活レベル」という言葉。
自分の生活レベルを下げたくないそうだ。

というのは、若い人の話だ。

私は、ワークショップでも教室でも、場にそぐわない人は断る。
それに驚く人がいるのに、こちらが驚く。

場を乱す人、組稽古で相手の人の稽古が出来ない人は帰って貰う。
受講する人皆が、自分の時間とお金を使っているのだから、そこを乱す人は、場には不必要だし、その人に向いていないからだ。

そういう私を知っている人が「帰したら収入が減るのではないですか?」というキッカケからの話が「生活レベル」云々になったのだ。

私は1948年、昭和23年生まれだ。
どういう事かと言うと、戦後復興さ中で日本国中が貧乏な時代だ。

食事こそ有り付けていたが、ご飯とお漬物、あるいは、ごはんと目刺し、ごはんと鮭、というようなものだ。
また、ご飯に塩昆布だけ、ごはんにちりめんじゃこだけの日も多かった。
でも、それで満足だったし他に美味しいものがあるのを知らなかった。

住居にしても、家は母が買ったのであったが、それは長屋の中の一軒だ。
友人などは、6畳一間に家族3人が暮らしていたり、4人で暮らしていた友人もいた。
もちろん、共同トイレ共同炊事だ。
風呂は銭湯だ。

仕事をやりだした当初は、殆どが住み込みだったので、6畳や4畳半に雑魚寝をしていた。
住み込みが多い時代だから、家や部屋を持つ必要はなかったので、日本全国どこでも仕事を探せたし出来た。
当たり前だが、プライバシーという言葉など無かった時代だ。

そんな時代を経験して来ているので、「生活レベル」云々など頭の片隅にも無い。

というよりも、そこに価値観を置いていないのだ。
もし、生活レベルという事を頭に置く、自分の価値観に置くと、生活の為の仕事になる。
私はそんなレベルの仕事はしたくはない。

生活の為に仕事をするという事等考えた事も無いから、そこに価値観を持っている人に驚く他は無い。

仕事とは「私そのもの」だからだ。

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