人はアナログだから

「東京・明鏡塾」112回目の講座は、人数が少ないこともあり、また、再受講の人達ばかりということもあり、「より精密に」がテーマとなった。
上っ面から中身へ、という感じだ。

そうなると、それぞれに気付くことが当然深くなる。
それは患者さんとの関係に即還元される。
即還元される、というのは、「還元できる自分が作り上がっている」という事であり、ある言い方をすれば、自分の中にシステムが構築されたということでもある。

もちろん、そのシステム構築が終着駅なのではない。
システムを構築したのだから、次はそのシステムを検証し作り直す、あるいは、壊すという作業になる。
それは、現場を日々過ごしている事で、気付く事感覚される事のレベルが上がるからだ。
つまり、システムは流動的なものであって、固定化されるべきものではないのだ。
全ては、自分自身の本質へ向かう姿勢と、その為の技術や考え方が決めるからだ。

講座の中で一人が、「朝最初に背中を触れ、最後に改めて触れると全く違う感覚になっているけど、その感覚は現場では難しい」と言う。
「当たり前や、通常10年はオーバーかもしれないけど、それくらい時間のかかる事を6時間で体験しているのだから」と答えた。

講座は、それくらいの密度を持っているという事。
それは、多種多様なアプローチをする事が、思考を混乱させ、また、感覚を混乱させる。
その事が、6時間で全く違う感覚を生み出した、というその日の結果になっているのだ。
つまり、6時間の講座は、数年の間で体験すべきこと、体感すべきこと、問題視しなければならないことを、体感しているという事なのだ。

「知った、感じた、気付いた」その事を自分化する為には、相当の過程を必要とするのだ。
その過程がなければ、自分を創り出す、創り上げる事は出来ないのだ。
試しに、生ダコを買ってきて、包丁で切ってみればよい。
料理屋で出されるお金を取れる切れ味や、一朝一夕でその味になる事はない。
人はアナログなのだから。

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