何気なく
「何気なく」ということ。
ジャズ・ドラムの頃、カンデンスキーの「点・線・面」をよく読んでいた。
今から思えば、西洋人らしい捉え方だと理解する。
だが、20歳足らずの私には、新鮮な考え方だった。
むろん、その本は音楽のものではない。
現代美術のものだ。
他には本の名前は忘れてしまった高階秀爾や岡本太郎の芸術関連の本も読んでいた。
それらは、音楽を考える上で、演奏をする上で役に立てた。
買った理由は全く覚えていないが、それらの本が目に付いたのだ。
目に付いたから買った、という理由が一番的を得ていると思う。
だから、私自身の目的が何かも分からず、何を読みたいかも分からず、ただ梅田の紀伊国屋に立ち寄った時、「へ〜」という感じで手にした本だ。
今風に言うと、無意識が選んだ本ということになるだろうか。
不思議な事に、この「点・線・面」は、武道の実際的な攻防を考える上でも非常に役にたったのだ。
「何気なく」という、自分自身が空白時に働く何かは「何か?」
どうして、音楽でも武道でも役に立てたのか?
喫茶店でタバコをくゆらしている時、そんなことを思っている。