マニュアルには無い事が大事

明日は、今回の修理部分の仕上げだ。
軒下の作業と野地板張り、肝心の雨用のブルーシート張りだ。

しかし、足場を上がったり下りたり、斜度30度の屋根の上での作業は、足裏の感覚がとんでもなく鍛えられる。
ツルっと滑る瞬間に手は予防ロープに触れている。
それだけで滑るのは止まる。
ロープを握るのではなく、触れるだけだ。

つまり、力まないのだ。
もし力んだとしたら、ロープを押さえつけるようにする。
落ちないようにするのではなく、ロープを押さえるのだ。
そんなことを現場で覚える。
マニュアルには無い部分だ。

どんなことでも、マニュアルには表す事の出来ない事があり、その事が一番重要だ。
料理のレシピがあり、レシピ通りにしたとしても、どのタイミングで火を弱めるか、もしくは強くするか。
どのタイミングでお塩を入れるか等々は、数をこなさなければ、そして肝心の料理を作る人の味覚の感度がどの程度なのかが影響しているので、お手本通りにはいかないのだ。
逆に言えば、味覚がするどく「どんな味を求めているのか」が明確であれば、レシピはいらないとも言えるのだ。

今修理をしている屋根も同じだ。
垂木を継ぎ合わせ、野地板を張る、これだけのことだが、全て周囲との取り合いの中で、つまり、関係の中で修理をするから、その関係部分はマニュアル化出来ないのだ。
そこで頭を悩まし続ける。
結果、最良と思われる方法に辿り着くのだ。
頭を悩まし続ける事の出来る人にとっては、方法を知る必要はなく、自分で編み出していけるということになる。
こういった道場修理という具体的な作業は、そんな頭に鍛えているということである。

ワークショップもその形式だ。
「どうして出来ないのか?」と頭を悩ますことで、たとえそれが出来なくても、十分頭の体操になっているのだ。
それは、日常生活での気付きが以前よりも早くなるという効果に現れるのだ。

■ワークショップのお知らせ
 東京11月28,29,30日12月1日
 東京・岡山・沖縄

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