質問しないのは
常にみんなと違う方向を目指す。
ドラムの時も、皆んなはフレーズや、諸々のテクニックや手数を身につけるのに没頭していたが、私は「音色」やその音色を作り出す「タッチ」だけに没頭した。
そして、曲想や曲想を作り上げるテクニックに没頭していた。
だから、テクニックでは完全に、皆んなから出遅れた。
でも、出遅れているなどとは全く思わなかった。
そんな私のドラミングを、有名なアルトサックス奏者が、「アキラ君のドラムは、よく歌っているね」と褒められたことがある。
その事はどういうことかは分からなかったが、「歌っている」という言葉は嬉しかった。
私の特技はここだ。
人から、例えば、これだと「歌っているね」という言われた。
それはその時点での私には理解できない言葉だ。
だから、そこで「それはどういう意味ですか?」とは質問しないことだ。
「ありがとうございます」で終わる。
そして、言われた言葉を保存しておく、これが多分特技なのだろうと思う。
もちろん、その50年前の言葉の答えは出ていない。
出ていないが明確に分かる。
その「分かる」というのは、私として「歌う」というのはこの感覚だろう、ということだ。
つまり、感覚的な言葉は、ある意味で絶対に言葉化しないようにしているのだ。
「私には分かる」それで良いとしているからだ。
もちろん、その当時にアルトサックス奏者が私に話してくれた意味は、前後の言葉から推測できているから、質問などする必要も無いのだ。
そして、重要なのは、言葉という抽象概念で切り取ってしまう、という愚かなことをしたくないからだ。
感覚を共有できればそれで良いだけだ。
生身の人間同士で。
沖縄コンサートは11月2日です。
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