一つに拘ると一つを忘れる

近所にコーヒーの焙煎屋さんがある。
ここのおやっさんが中々いかしている。

「この豆の場合、温度はどんなもんでしょう」
「ま、色々言う人がいますが、そうかわりませんよ」手な具合だ。
だから、こっちとしては拍子抜けしてしまう。

10代の頃、喫茶バーテンをしていたので、美味しいコーヒーをいれたかった。
喫茶バーテンは東京も含め3.4軒は職場を変えている。
それは、それぞれのスタイルを学ぶ為だ。

2軒目の店は、丁度東京オリンピックの前だったのと、完成したての地下街ということが重なり、1100万円を売り上げる超忙しい店だった。
そこに見習いから入り、時々コーヒーを点てさせてもらうまでになった。
そこまでの紆余曲折の方が面白いのだが、それは別として、初めてコーヒーを点てさせて貰った。
出来上がりをチーフが味見をして「日野くん、こんなものお客さんに出せないよ」と優しく言われ、点てたコーヒー50杯分を流しに捨てられてしまった。

そんな事もあり、コーヒーを点てることに何とはなく拘っている私だ。

そのおやっさん曰く「ここで飲むコーヒーは美味しいけど、家に帰ると同じ味になりませんという人もいるけど、外で飲んだ時の気分、家で飲む時の気分、食後か食前か、という具合に状況が色々変わる。それに連れて味覚も変わる、だから『そうかわりませんよ』といいます」そうだ。

そうだ、その通りだ。自分の気分の変化、そして場、それらが影響していることをコロッと見失っていたことに気付かされた。
視点が何か一つに向くと、自分では分かっていることでも見失ってしまう事もあるのだ。
という二重に気付かされたおやっさんとの会話だった。

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