受け継ぐ??
よく人から「日野武道」は誰が継ぐのか、と聞かれる。
そんな時、こういった無形のものは、全て個人のものだから「継ぐ」という考え方がおかしい、と答える。
しかし、日本は家元制度的な考え方が根付いているので、「個人のもの」というように、離れるのが難しいのだろう。
もちろん、これが有形のもの、例えば神社仏閣を作ったり修復する「宮大工」さん達の世界では「継ぐ」ということが可能だ。
何百年も変わらない姿、手本がそこにあるからである。
無形のものは、どんなことでも個人のものであり、それ以上も以下もないのだ。
フランスでは、私の教えたことを広めようと、有志数人が春にワークショップを開くそうだ。
そこで「日野武道」がちゃんと伝わるのか、という危惧はない。
それは教える彼らがどう捉え、どう解釈しているかが伝われば良いからだ。
例えば、ケーキ職人がケーキを作り、店頭に並べる。
それを買った人が美味しいと思い、そのケーキ作りにチャレンジする。
そんなことだ。
形が伝わるのではなく、美味しいと思った気持ち、それを誰かに食べてもらいたいと思った気持ち、それは間違いなく伝わる。
そこが「関係」の本質の側面でもあるのだ。