いきなり話し出せば

「この店、古いん」「いや、店を作るとき古く見えるようにと頼んで作りましてん。まだ2年ですわ」「ほんまぁ、ゆっくり落ち着いて食べられたで」「昭和の感じにしたくて」「俺らはバリバリ昭和やからゆったりしたで、みんな美味しかった、ありがとう」
夜、お腹が減ったので、近くのイタリアンの店に食べに行ったのだ。
ピッツァもパスタも、デザートもともかく全部美味しかった。
大阪は、どこへ行っても話がある。
話が弾む。
放っておいたら、際限なく続くような気がしてくる。
会話がメインで、そこに何かしらの商品がある感じだ。
「あそこの店、ええ加減に立ち退いたらええのになあ。あんまりねばったら強制撤去されて、お金減るのに」「ああ、あそこにある店のこと?」
喫茶店でマスターと客との会話に割り込んだことがある。
でも反応としては「兄ちゃん聞いてや」と、昔からの知り合いのような感じになってしまう。
いきなり昔からの知り合いのようになるのだ。
生徒と一緒に歩いていた時、何かで通りすがりのおっちゃんと話をした。
そのおっちゃんと別れてから生徒が「知り合いの人ですか?」と聞くので「なんでやねん、全然知らんおっちゃんやで」だ。
自己紹介もなければ、素性も分からない。
年齢も性別もそんなこと一切関係がない。
ただ笑顔でいきなり話し出せばよいだけだ。
大阪で育った私には、これが普通だろうだ。
もちろん、普通という認識もない。
身に染み込んでしまっているからだ。
海外で言えばラテンのノリなのだ。
その意味では、スペインやフランスが居心地が良い理由だ。
今ではこういったやりとりは、激減しているのではないかと危惧する。

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