やれば出来る

「それは、俺が損や」子供の頃、そんな言葉を使いながら育った。
大阪だからだろう。
子供の頃に使った言葉は、完全に染み付いている。
「損しないように」は、今でも使っている。
ところが、それを使う意味合いは、子供の頃とは完全に違っている。
子供の頃は、目先の不公平に対してのものだ。
今は、自分自身そのものに対して使っている。
よく、ワーク・ショップや教室でその事を話す。
「自分の時間、自分のお金を使っているのだから、絶対に『ものにしなかったら損』ですよ」と。
それは、傍観している人に対しての言葉だ。
「一体、何をしに来ているのか」そこが見えないからだ。
もちろん、色々な人がいるから傍観しているように見えるが、内心は探求しているのかもしれない。
しかし、基本的に私のワーク・ショップは「関係」ということをテーマにしている。
身体と自分の感覚や意識との関係、自分の身体と、他人の身体との関係、文字通り人と人との関係等々である。
2年前の福岡で、私から「コンビニで店員さんに『ありがとう』というように」と言われたという男性がいた。
それは、その男性が一人でポツンとしていた、自己完結の世界にいたからだ。
自分から積極的に声をかけなければ、誰も扉を開かない。
今回、2年ぶりに受講してくれた。
「日野さんにそう言われて、直ぐにやりだしました、最初は照れくさかったのですが、今では私の気持ちもよく、店員さんも笑顔が出るようになりました。良かったです」と報告してくれた。
「やって、良かったでしょう」「はい」
たった一言の「ありがとう」が、他人の笑顔を誘うのだ。
お互いの気持が開いたのだ。
それが関係の入り口だ。
そんな事を実際に出来ない人が、コミュニケーションや傾聴を語るな、である。
ありがとうということが大事なのではない。
ありがとうという「気持ち」が、相手に伝わる事が大事なのだ。
言葉が気持ちを誘発することもあるし、気持ちがあるから言葉になることもある。
そんな一言が、お互いの扉を開くのだ。
直ぐに出来ることだからやってみては如何?

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