違う道から発見
ジャズをやっていた時、常にジャズをやれていたのではない。
歌手の伴奏や、色々なエンターテイナーの伴奏もしていた。
もちろん、そちらの方がギャラが高いからだ。
しかし、これら、いわゆるエンターテインメントの世界を知ることで、技術は相当向上した。
そこで要求される技術は、半端なく高度だからだ。
その当時はさほど感じなかったが、実はこの世界を知ることで「観客」ということを重要視するようになったのだ。
それが独り言の演奏と、皆に聴かせる演奏の違いを聞き分ける耳を養えたのだ。
そして、誰が誰に話しているのか、あるいは、独り言かを聞き分けられるようになっていったのだ。
つまり、「違和感」を感じ取る力が鋭くなったということだ。
違和感というのは、何かに対してのものだ。
その「何か」がなければ、違和感を感知する能力も育たないのだ。
もちろん、意味もなく「何かおかしい」という場合も沢山ある。
それは、自分自身が対象とするものを分かっていないだけである。
無意識的に発動している視点が「おかしい」と感覚に直接信号を送っているからだ。
その意味で言えば、「何かおかしい」という感覚は、自分は何を見ているのかを知るヒントになるのだ。