清水宏の世界

昨日は、コメディアンの清水宏さんの、「一人芝居」を下北沢へ観に行った。
12.30人の小じんまりとした小屋だが、平日に関わらず満員だった。
登場は、コメディアンそのものだったので「おんなじや」と、爆笑しながら思ったのだが、その同じは「清水宏」ということである。
席につくと、前の席には劇団山の手事情社の看板女優倉品さんがいた。
「ご無沙汰しています」その横にも、横にも、「えっ」私の横も、役者さんだらけだ。
多分、右隣もその筋の人だろう。
だから、なんとはなしに客席全体の雰囲気が違う。
奥の方で手を振ってくれる女性、「久しぶりやな!」女優の宮下今日子さんだった。
何年ぶりだろう。
いきなり時間が止まる。
「智人も来るよ」「へ〜、ほんまに久しぶりやん」
表舞台で活躍している人達だ。
もちろん、その人にとっての世界は全て表舞台だが、いわゆる表舞台ではない味を出せるのが、こういった舞台だ。
清水さんが一人芝居をすると聞いても、想像が出来なかった。
もちろん、元々は劇団員だから、それは失礼な言葉ではある。
しかし、私にとっての清水宏はコメディアンが入り口だったので、残念ながら「芝居」は想像できないのだ。
しかし、そこには想像できない原因がある。
それは、芝居と言えば、まず「くさい」、そして「自分だけの思い込み」という印象が強すぎるからだ。
そしてそれが一人芝居ということになればなおさらだ。
有名無名を問わず、100%自己完結の舞台だからだ。
それはないだろうが、しかし、想像出来ない。
ま、観たら分かる。怒涛の1時間50分だった。
息もつかせず、しかし、演出もよく、それこそ「アッという間」だった。
無言のシーンもあったが、清水宏の達者ぶりが際立った。
ラストシーン、思わず涙が出ていた。
何に?もちろん、清水宏にである。
筋書きや台詞という、演劇を形つくっているものではない。
観客に、私達に真正面から向かう清水宏にである。
終わっても誰一人として席を立たなかった。
立とうとは思わなかったのだろう。終わらせたくなかった。
東京ワークショップ 11月21日‐24日
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