関係性の芸術
つくづく武道をやっていて良かったと思う。
もちろん、みんなが知っている程度の武道のことではない。
私が勝手に気づき、勝手にそこを掘り下げていった、という武道だ。
それは「これはどうなっているのか」「どんな目的があるのか」等々の疑問を持つこと、一つの事を問題視することから始まったものだ。
気が付けば、誰もそこのところは気づいていない、というようなところを掘り下げていた。
そういった事が、様々なジャンルに応用が効いているのだ。
今回のBalletにしても、些細な事でも知らない事は、納得の行くまで聞く。
そうすると、どうしてそれが必要なのか、あるいは、ただの習慣かが見えてくる。
このワークをしているスタジオは、大小合わせて9つのスタジオがある。
玄関の扉を開けると、直ぐに大きなスタジオがあり、プロのダンサー達が汗を流している。
よく映画で見かけるシーンだ。
興味を持って見ていると、プロといえどもかなりの差があることが分かる。
先生が手本を見せ、ピアノの伴奏に合わせて全員が踊る。
この何の変哲もないシーンに違和感を覚える。
「一体何をしているの?」Amyに尋ねる。
ウオーミングアップから、身体をBalletに慣らしていく作業だという。
「そんなこと一人で家でやってくればいいやろ、プロなのだから」と突っ込んでみた。
それには答えを持っていなかった。
しかも先生はダンサー達にアドバイスをしない。
であれば、余計に「一体なんだ?」と疑問に思う。
それを含めてBalletという世界なのだ。
そういった、些細なことに疑問を持つ「どうして?」
そして、全体から一つの構造として考えてみる。
このピースはどこに必要なのかと。そういう思考が、どんな物事でも奥深く探求させてくれる。
「表現」ということでも、敵から自分はどう見えているのか、どう見せたいのか。
と当たり前の事を、考えたからその中身を引き出す事に成功したのだ。
そういうところから、武道は関係性の芸術だと言えるのだ。