けたたましいサイレンの音が鳴り響く
ブリュッセルの街は、とにかくサイレンが頻繁に鳴り、パトカーや日本でいう機動隊が乗るような大きな車両が猛スピードで走っている。
街ゆく人の内心はどうだか分からないが、別段「我関せず」で日常を送っているようにも見える。
今回のホテルは、殆ど街の真ん中なので相当賑やかだ。
咳がひどく今日も朝4時30分には目が覚めた。
でもとにかく無理をして寝た。
昨日もそうだったので、稽古が終わってからの食事中、何回か一瞬落ちた。
だから、今日は昼食後、それこそシェスタをしよう。
天気が良いから太陽を浴びたら眠れるかもしれない。
しかし、寒さのせいなのか、タイミングが合わなかったのか、飽きられたのか、その辺りの理由は分からないが、道場は20人くらいだった。
人数が少ないので「棒」をやってみた。
以前は、全身の連動を使って力を棒から出す、という基本的な稽古をした。
今回は、棒に体重を乗せるのと線として順に使うという、少し高度な使い方をやることにした。
棒を線として使うには、線の入口はどこか?を決めなければいけない。
簡単に言うと、最初に相手の身体に触れるところ、接点だ。そこを線の始まりとして、棒を順に辿る、もちろん、最初に触れた圧力を変えずにである。
それが棒を線として使う、つまり、棒から力を出す基本中の基本だ。
そして体重移動。
そこに「間」を使うのだ。
単なる体重移動ではなく、意識を完全停止させ、相手がそれに同調した刹那、次の体重移動をする。
その事で、相手は混乱しバランスを崩す。
そういう稽古だ。
しかし、この「間」は俗にいう「入り身」をする為の最低条件でもある。
間を外す、間を崩すから、易々と相手の中に入れるのだ。
だから、ある言い方をすると「間」とは、相手との関係の中での意識が同調された状態だと言える。
少ない人数だと、こういった高度な稽古も紹介できる。
もちろん、皆の頭の中は「????」だろうとは思うが。
でも、それに挑戦して行くし、挑戦しなければ取りつく島も見えない。
みんなが取り組んでいる時、一人で黙々と「肘当ての形」をやっている。
多分、一番効率よく上半身が動きやすくなる運動だと思う。
それくらい暴れていなければ、ここの道場も寒いのだ。
フランスから一番理解しているダビットも来てくれていた。
彼が稽古相手に一番良い。
力も強いし体格も大きいからだ。
胴体部位のストレッチし、それを一瞬で緩める。
それで相手はバランスを崩す。
その相手にはもって来いだ。
誰が見ても私の体格でダビットが崩れ落ちるとは思わないし、ダビットも最初はそう思っていたに違いない。
だから、何時も本気で向かってくれる。
本気の人とは稽古が捗るから大好きだ。
そうなると、次から次へと新たな実験が浮かんで来る。
つくづく、人は人との関係の中、環境との関係の中で生きているのだと思う。