全部見えるを獲得するには条件がある

「全部見えている」を違う角度から言えば、沢山の現象を見たり体験することで、その最大公約数は何か、共通している事は何か、を探し出すことで培える。
もちろん、数学とは違い色々な共通項がある。
その一つを視点として、また現象を見ることに戻る。
そういったことの繰り返しが「全部見えている」に辿り着くのだ。
20年ほど前に、生まれて初めてウインドウサーフィンをやった。
浜辺で、セールの上げ方を習うのだが、陸の上では身体操作でセールは上る。
「それでいいです」とコーチの方に言われ「それはないやろ」と内心思いながらも、そこのルールに従い沖に出た。
「ハイ、ここでやっていて下さい」とボートを浜に向けて去っていった。
さて、どうするか、と思案しながら、一応浜でやった身体操作をやってみた。
セールは水から浮かび上がっては来ない。
大きなセールだったから、余計に無理だ。
何度か試みたがどうにもならない。
仕方なく、他の人達を見ていたら、小学生が相当大きなセールを上げているのを見つけた。
「小学生でも上げられるんや」と思うと同時に、その小学生を観察した。
そして、頭を介さずに見たままやると、見事セールは上がった。
と思ったら、反対方向にドブン。これを数回繰り返すことで、数時間後には快調に海の上を滑る事が出来た。
もちろん、ここには条件がある。
自分の身体がどんな状態になっているのを、知っているのか知らないのかだ。
知っているから、小学生の真似が出来て、結果としてセールを上げることが出来た。
つまり、「全部見えている」の身体版は、自分の身体を知っているのか知らないのか、という条件があるということだ。

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