夏合宿終了!!
フランスからの人も交えての夏季合宿も、今日無事に終えた。
土砂降りの雨の中、駅に向かうバスを待つ為に道場を後にした。
今回は、フランス人達の為に、武道にとって本質的で重要な稽古に取り組んだ。
ただ、一つ残念だったのはフランス語の話せる人がいなかったことだ。
もちろん、彼らは英語も大丈夫だが、やはり母国語が良いに決まっている。
辞書を片手に、まるで英会話教室のような時間が夜な夜な流れた。
まあ、それも一つの稽古だし面白いに決まっている。
ファリドは10年後の自分を目指しているという。
彼は柔道や柔術空手など、色々な事をやっていたが、私の1回目のパリワークショップがショックで、全部止めたという。
それからは、年に数回のパリのワークショップでやるワークを手がかりに、毎日稽古に励んでいる。
「頭の中に入っているモノを全部捨てるのが難しい」
と、出来ない時に頭を捨てるジェスチャーをする。
もちろん、それはワークの中で、何時も話すからだ。
だが、それは私の話を聞いていっているのではなく、私の話をヒントに自分で気付いていったことだ。
つまり、自分で獲得した言葉だ。
だから、実際にそれを悩んでいるのが分かるし、今回の合宿を見ていてもよく分かる。
誰よりも、身体がしなっているし、新しいワークにもかかわらず、想像力が鋭く、これも誰よりも理解していた。
筋肉の質が変化していることもよく見える。
それは、胸骨操作にしろ、縦系の連動にしろ、数稽古を沢山しているからだ。
そんな彼らに日本の生徒達が刺激を受ければ良いと思うが、いかんせん「彼らより」ではなく「それなりに」だろうから余り期待できない。
私が提示しているワークは、私だけが出来るものではなく、稽古をすれば出来る、ということを、彼らが私に見せてくれる。
その事が、私自身の探求に役に立つし、考えている方向が間違っていないことを教えてくれる。
ある夜「日野先生は伝える為のモチベーションが下る事はありませんか」とファリドに聞かれた。
私は「二人のような素晴らしい人達と出会えることが、私のモチベーションだから下る事はないよ」と答えると神妙な顔つきになっていた。
とにかく、密度の濃い合宿は終わった。