狂え!

埼玉・彩の国小ホールで行う公演に、今回も無理を言って画家の寺門孝之さんに文章と絵を頼んだ。
「狂え」と題された文章の最後が
「~さらに狂え! 狂え! 狂え! 狂え!浮ばれないモノどものために。満月を打ち鳴らし、世界が裏がえるとそこに! まっさらな太陽!!!」とあった。
この「狂え」が曲者なのだ。
本当に狂ってしまっては、収拾がつかなくなるばかりか病院送りだ。
しかし、狂った風だと白けてしまう。
学生芝居だとそれで良いのかもしれないが、それではお金を取れない。
巷ではお金を取っているから恐ろしい。
本気、狂気、冷静、この三つが備わらなければ、表現にはならない。
特に舞台では誤魔化しがきかない。
狂う為には何が必要なのか。
基本的には情熱だ。
舞台に対する情熱だ。
その情熱が芝居や、振り付けを媒体として現れるからだ。
好きと情熱は全く違う。
情熱は嫌いなことまで好きにしてしまう。
好きなことから嫌いなことを探し出せる。
探し出した嫌いなことを徹底的に追求できるのが情熱だ。
また、舞台で必要なのは、時間的過程を冷静に見詰められる目だ。
それは、時間性の世界だから、自分で「素」から「狂う」までを作り上げていかなければいけない。
そして、その過程が見えなければいけない。
そんな集中力が、観客を舞台に取り込んでいく力になるのだ。
昨年の公演は、狂うのではなく「暴れた」だけに終わってしまった。
それでは駄目だ。
暴れた後には疲れしか残らない。
もしかしたら自己満足の爽快感が残ったかもしれないが、それでは観客とは何の関係も出来て無い。
もちろん、学芸会ならそれで良い。
昨年出演したダンサー達から、リベンジしたいとの声も上がった。
はがいくて仕方が無いらしい。
今年は、皆かなり冷静だ。
狂える為にフリを単純化してみた。
変拍子も7/4に縮めた。
もちろん、リハーサルを重ねていかなければ見えてこないが、狂える予感がする。
まっさらな太陽が見えたら…。

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