私がお手本にしたJackDeJohnetteさん、ご冥福をお祈り申し上げます。
ジャズドラマー時代、手本にしていたドラマーの一人JackDeJohnetteさんが亡くなったそうだ。
同じく、Tony WilliamsやElvin Jones、Buddy Richさん達も本当の雲の上の人になっている。
こればかりは仕方が無い。
この4人のドラマーをレコードで知ったのは、丁度時期が同じだ。
Buddy RichさんとElvin Jonesさんを除いた2人は、若くてまださほど有名では無かった時だ。
Tony WilliamsはJackie McLeanのメンバーとして17歳で参加していた。
「何?このドラマー?」と思う程、他のモダンのドラマーとは違った印象に残るドラミングだった。
直ぐにマイルスディビスのバンドに引き抜かれ、「マイルスインベルリン」で超アップテンポの火の出るような演奏を展開していた。
それを聴いて「これをパクろう」と決めたものだ。
20歳の時、行きつけのジャズ喫茶で耳にしたのが、チャールズロイドCharles Lloyd(https://tower.jp/article/feature_item/2020/06/26/0103?srsltid=AfmBOoqSyTWdDBNOMSVXnr-fFmqkhWbuO2xc8piV_C6d6pZWUndz85CJ)の「フォーレストフラワーForest Flower」だ。
演奏に息をするのも忘れたくらい引き込まれた。
曲の構成が上手く出来ていたし、即興だか譜面だか分からないリフを当時のピアノ、キースジャレットが絡み、絶妙の良い雰囲気を作り出していた。
それがそのバンドのドラマーだったJackDeJohnette の音との初対面だった。
その年だったか、次の年だったか「4大ドラマーの共演」という催しがあり、メル・ルイス、ロイ・ヘインズ、ジョージ大塚、そしてジャック・ディ・ディジョネットが出演した。
確か、ジョネットが一番若かったと記憶する。
そこで繰り広げられた演奏、ジョネットは圧巻だった。
どういう訳か、ジョネットの演奏からセクシーさを感じたのを覚えている。
「このままの私ではあかんやろ」と、パワーの弱さを感じたのだ。
当時の私では、このフォルテシモは出せない事に気付いたのだ。
4人のドラマーが順にソロを繰り広げた。
1人の上にそれぞれが乗っかかって行くものだ。
ジョージ大塚、ロイヘインズ、メルルイス、最後がジョネットだった。
彼が演奏に加わると、完全に3人の音はどこかへ消えてしまった。
その圧倒的なパフォーマンスに酔いしれたものだ。
当時知り合ったアルトサックス奏者は、チャーリーパーカーを勉強していた。レコード丸コピーだ。
その演奏を聴いた時、「こいつと演りたい」と思った。
で、その彼に声を掛け、一緒に練習をする事になった。
練習のテーマに、このフォーレストフラワー」を選んだ。
アルトの彼は、直ぐにチャールズロイドの演奏を丸コピーしてきた。
ジョネットをコピーするのは難しかった。
だからポイントだけにし、練習を繰り返したのを思い出す。
お手本は常に私よりも年長が多い。もちろん、年下でも素晴らしいミュージシャンはいた。
この数年後に出会う東原力哉がそれだ。
何しろ団塊の世代のミュージシャンはウジャウジャいた。
あの頃の仲間達で知る人は、殆どが亡くなっている。
もうすぐ私の番がくるのだろうが、どっこいまだ息をしているので、最後に向かってエネルギーを使ってしまおうと思った。
JackDeJohnetteさんのご冥福をお祈り申し上げます。




