知る必要の無い事
私は芸術関係の指導の時「音の中に入る・音楽の中に入る」とよく話す。
それを聞いた人は、「???」になる。
どうして「???」になるかと言うと、その言葉をそのまま考えるからだ。
そうなると、「音の中に入る・音楽の中に入る」は殆ど世間に出回っていない言葉なので、取り付く島もない状態になる。
そんな場合、その事を考えるのではなく、即座に反対側を考えなければいけない。
「では、音の中にはいっていないとはどんな事か?」だ。
音を分析している時、音を鑑賞している時、音を伴奏にしている時、音を目安にしている時等々だ。
もちろん、演奏で「こうしたい・こうしよう」としている時は論外だ。
それ等以外だ。
しかし、それ以前がある。
つまり、「音って何だ?音楽とは?」を自分の問題として、考え尽くしていなければならない。
もちろん、それは自分なりにで良い。
その体験がなければ「音の中に入る」は分からないし、その言葉に近いニュアンスを自分の問題として持っていないのだ。
だから、この問題を知る必要が無い、という事だ。
そういった場合は、音に関してそれほど問題意識が発達していないからだ。
だから、それが悪いのでも、間違っているのでもない。
自分はそのレベルだからもっとレベルを深めれば良い、あるいは高めれば良いだけの事だ。
ここを抜かして、言葉だけで問題や答えを知っても意味はないのだ。