精密な感覚

0,1mmの誤差が出るから、この製品は駄目だとメーカーにクレームを付けた。
懇意にしている宮大工さんの話だ。
それは大工道具の差し金で測れないからだそうだ。
そんな精密な仕事が宮大工と呼ばれる人の手技だ。
年に34回身体のメンテナンスに来てくれる。

その身体を触る私は、もしかしたら宮大工さんよりも精密かもしれないと思う。
筋肉、筋、健、体液等々、具体的には分からないが、手が違和感のあるところを探り出す(明鏡塾で教える「触れる」だ)。

今回は、足元がおぼつかない状態で来られた。
先程のクレームの話や、会っていなかった時間のエピソードを話してくれる。
「ああ~、ここへ来て話を聴いて貰ったら、それだけで回復する」とおっしゃる。
お互いに70歳を超えているのだから、注意しましょう、てな言葉をかけるが、お互いにそんなことは微塵も思っていない。

宮大工さんのおっしゃる「ここに来て」は、重要なところだ。
「ここ」とはどこか?
もちろん、この場合は私の道場だ。
しかし、「道場」という箱の事ではない。
私の意識が充満した空間ということだ。

箱はそれぞれの人の意識が充満して、固有の家になる。
だから居心地の悪い家も場所もあるのだ。

この「居心地」という感覚も大事だ。
危機管理能力の一つだからだ。
そしてAIには感じ取れない異質の世界だ。
そんな感覚が備わっていれば、箱も居心地の良いもになる。

宮大工さんは、顔色もよくなりしっかりとした足取りで帰っていった。

武禅一の行 5月1.2.3日残り2席です!
武禅一の行・受講者の感想

 
 

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