実は死は身近なもの
ジャズ・ピアノのチック・コリアの訃報を見た。
また一人、、、、、という感じだ。
今、歯の面倒を見て貰っている歯科医は同級生だ。
先日も定期健診に行った。
今では息子が院長だ。
健診の最中「父の姿勢が悪くなって来ているので、診てやってくれませんか」と言われたので、「ええよ、呼んどいで」と診療台での会話。
同級生を診ると成程歪んでいる。
「どうしたんや、お前らしくないで」と身体を触り動かした。
「自分でこの方向に動かすようにせえよ」とリハビリを教えた。
姿勢も顔色も良くなったので、傍にいた息子も衛生士も驚いていた。
彼も、数年前に脳梗塞で倒れている。
「お互いに歳やねんから、自分で注意せなしやないで」だ。
訃報を沢山聞く年齢になっているから仕方がないのだが、ニュースで知ると驚いてしまう。
きっと、どこかで永遠の生命だとは思っていないだろうが、微かにでも死を遠くにみているのだろうと思う。
チック・コリアの演奏は、バンドボーイの頃に行きつけのジャズ喫茶で聞き、強烈な印象を受けた事を思い出した。
「誰やこれ?」とレコードを手に取り名前を探したものだ。
日本ではまだ無名だったが、私は惹き付けられた。
そのレコード名は忘れたが、確かラテン・バンドだった。
そう言えば、先に亡くなった、トニー・ウイリアムも、「誰や、これ?」だった。
確かジャッキー・マクリーンのレコードだったと思う。
ドラミングの粒が揃っていて、ジャズ特有のノリではなく、音符そのまま、例えば2拍3連をそのまま素直に使っている事が新鮮だったのだ。
トニー・ウイリアムがマイルスと演る前のものだから16.7歳だ。
それを後から知り「ゲエ~」と驚いたのも思い出した。
チック・コリアを次に耳にしたのは「サークル」、そして「A,R,C」という、現代音楽風フリージャズだった。
フリージャズの集合即興演奏は、「何これ?」というものが多い中、整然とした演奏に魅力を感じたのだ。
硬質で冷く機械的な感じなのだが、学ぶ上では、最良の教材だった。
このレコードは、私がフリージャズ方面に向いていた事もあり、大いに刺激を受けた。
フリーにアプローチをするのに、どんな形式を用いているのか等々を分析し、私のバンドに取り入れたりした。
両名共、多くのジャズ・ミュージシャンに影響を与えた素晴らしい人達だ。
故人が安らかな眠りにつきますよう、心よりお祈りいたします。