エンディングへラストスパートを

73歳の誕生日だ。
前の日曜日に、生徒達が祝ってくれた。

子供の頃は、その誕生日で時間は一時停止をしたが、この年になるとスッと通り過ぎる。
そのスッとは年々早くなり、それこそ新幹線のぞみが駅を通過する感じだ。
面白いことに、祝ってくれる人の数は、一時停止した頃と比べて反比例的に増えている。
それが時間ということかもしれない。

いずれにしても73年も生きて来たのは間違いない。
だから何なのか?
それはどうだって良い。
過ぎ去った事、記憶にしか残っていない事だからだ。
ただ言える事は、コロナであろうが何であろうが、明らかに人生の終焉に向かっているのは事実だ。
その事は自覚出来る。

いわゆる最終章であり、音楽で言えばエンディングだ。
どんなエンディングになるのか?

エンディングで傑作な失敗をした事がある。
あるダンスのパッケージショーを伴奏した時だ。
ショーは進み、ドラムソロでショーが構成されている場面があった。
そこを無事通り過ぎアンサンブルへ盛り上がっていく。
その瞬間、譜面を見失ったのだ。

こういったパッケージショーは念入りに打ち合わせをする。
しかし、その時に限ってショーのマネージャーと、簡単な口合わせだけだった。
だから、ダカーポなのかエンディングへ向かっているのかを、見分けられなかったのだ。
そして質の悪い事に、ダカーポもエンディングも同じアンサンブルだった。

トランペットセクションを見ても、サキソフォーンセクションを見ても、皆譜面にかじりついていて、私が見失った事に気付かない。
もちろん、そこでドラムを止めるわけにはいかない。
「ええい、ままよ」とそのままダカーポをした。
バンドマスターの1stトランペットもダカーポ臭い。
それに気付いて、自信を持ってアンサンブルを盛り上げた。

何とエンディングだった。
サックスも他のトランペットもリズムセクションもダカーポの譜割りでは無い。
「アッチャ~」だが、即座に合わせ事なきを得た。
実はバンマスは、私に釣られてダカーポしていたのだ。

こんなどさくさ紛れのエンディングが、私には向いているのかもしれない。
そのエンディングに向けて、ラストスパートをここからかけてみよう。


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