(無題)

「重いものを軽く」とは、武道での鉄則だ。
詠み人知らずなのだが、私はその昔懇意にして頂いていた、合気道の砥嶋師から聞いた。

お弟子さんで、山仕事をしていてガタイが恐ろしく良い青年を従えて、道場に遊びに来られた時だ。
丁度材木をトラックから下ろしている時だ。
青年が手伝ってくれたが、それを見ていて「腕力だけでやったらあかん、重いものを軽く持つのが武道やで」と軽々と材木を持ち下ろしてくれたのだ。

そういえば、私が材木商社に頼まれて、工事部長を任されていた時、そこの支店長の材木の扱いが見事なのを思い出した。
「日野ちゃん、止まっているものを移動させるのは力がいる、でも動いているものを移動させるのは簡単や」と鳶口を操って材木を移動させていた。

いわゆる力仕事的な仕事をする人に中には、そういったコツを掴んでいる人が沢山いる。
そんなことが、私の身体操作をより実践的なものにしてくれたと言っても良いかも知れない。

私が発見した胸骨操作も、後付けになるが、そう言えば良い大工さんは、こんな姿勢をしていたのを思い出した。


Follow me!