日々が自分を作るから

先日のコンサートも11年前のコンサートでも、幼児や赤ちゃんも大歓迎にした。
それは、幼児や赤ちゃんの方が、大人たちよりも直球で受け止めるからだ。
先入観も固定観念も持ち合わせていない、それが私にとっての一番のリトマス試験紙だからだ。
世間的価値観に流されて生きているのではないから、私の「演っていること」を反応するということで、結果として評価していることになるのだ。

「最初はグズっていたけど、何かジッと見ていました」「走り回って大変でした」「日頃寝ない子がスヤスヤと寝てしまいました」色々反応があるが、その感想が一番嬉しい。
私と直接感じあえたということだからだ。
もちろん、グズる赤ちゃんもいる。若いお母さんやお父さんは気がきではないだろうが、それ以外のお客さんは違和感を感じなかった筈だ。
また、私と同年輩の方達で、あまり音楽と縁の無い人達が喜んでくれたのも嬉しい。
そこに喜ぶ理由を持っていないからだ。
無条件で楽しんでくれたお顔を拝見すると、演って良かったと思える。
「これって譜面があるの?」と聞かれたと笑って話す人がいたが、そんな人が喜んでこそのコンサートの意味があるのだ。

頭から、つまり、価値や理由を前もって知らなければ成立しないような舞台は、純粋に舞台芸術ではない。
それが私が一貫して持つ考え方だ。
過去に演劇的な作品も作った事があるが、その時の集客も、芝居も踊りも見たことがない人、興味のない人を集めよう、と皆に指示を出したくらいだ。
それは、そういった人達が「舞台って面白い」と感じてもらえたら、観劇人口が増えるからだ。

しかし、芸術の考え方は別として、赤ちゃんでも幼児でも連れて来ていいよ、というそんな私になっているのは、私が驚くばかりだ。
もちろん、そんな私になろうとしたのではないし、まず頭には無かったからだ。
それが日々の積み重ねということだろうと思う。
日々の積み重ねというのは、武道の稽古であり、それを深める研究だ。
「関係」ということの実際的な掘り下げが、私を作ってくれているのだろう。

福岡ワークショップ6月28.29.30日
沖縄ワークショップ8月10.11.12日

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