人は簡単に変われるで
コンサートを終えロビーに出ると、思い思いに感想を聞かせてくれる。
そのナマの声が嬉しいし私にも響く。
デザイナーの皆川明さんが、循環しているのが見えたという感想を聞かせてくれた。
私が出した音を私が聞き、そして音を出しまた聞いて、という循環だ。
私は、そういった感想を欲しくて、つまり、結果が欲しいから演奏したのではない。
ドラムを自分の演りたいようにやる、それだけしか無い。
そうすると、それに比例した結果が現れるものなのだ。
もちろん、その演りたいように、という中には現役の頃からの蓄積があり、音楽に対する考え方、演奏に関する考え方、表現ということの考え方等々、あらゆるものが詰まっている。
それらを総動員した「演りたいように」だ。
いわば、50年以上音楽を基盤に物事を考えたり、武道を基盤に考えたりがあり、あの演奏になったのだ。
今回の演奏で、自分として嬉しかったのは、現役の頃のクセが取り払われていた事だ。
10年前は、まだ現役の頃のかすかではあるが延長線にあった。
今回演奏してみて、それが無いことに逆に驚いた。
もちろん、それには方法がある。
新たなクセを付けることだ。
それが功を奏したということだろう。
それはドラミングのクセ、聞く音楽のクセ等々、目先にあるドラムに関わること全部だ。
という具合に、人など簡単に変わる事が出来るのだ。