歳と共に鋭く美しくなる
「時間には限りがある」これは何も「時間」という概念の話では無い。
私たちの生命は、という話だ。
若い人はピンと来ないだろうが、人の生命には限りがある。
つまり、寿命は何時までなのかは、誰にも分からない、しかし、必ず訪れる。
この不確定に限りある中で生きている。
そんな事を考えるようになったのは、17歳の頃だ。
もちろん、それを常に頭に置いていたのでは無い。
何かしらそれが私を後押ししてくれているような気がするだけだ。
実際問題、私の今の年齢よりも若く母は亡くなった。
そんな事が、「限りある時間」という事を現実化してくれている。
私は今、ヨーロッパをはじめ13カ国で武道を教えている。
また、芸術大学に招聘され、ダンスを教えたり、作品を作ったりしている。
時々、来日し私のワークを受けに来てくれるダンサー達もいる。
こういった活動の根源は、「限りある時間」だとつくづく思う。
ここ数年では、また活動基盤が増えた。
医療従事者の為に「関係性」を指導する事だ。
そんな事を考えると、どんな動機を持っているのか、という事が、自分自身の可能性を決定しているとも言えるのでは無いだろうか。
ドラムソロをする。
それもこの「限りある時間」のおかげだ。
10年前、もう二度とスティックは握らないだろうと思っていた。
それは、10年前に想像する70歳が決めていたのだ。
しかし、実際に昨年70歳を迎えた時、10年前よりも身体が、あるいは、考え方、心持ちが軽く、柔軟になっていることに気づいた。
もちろん、それは武道を求めた時に、それを求めていたからだ。
「人間という生物は、歳と共に鋭く美しくなる」
40年前に気づいた言葉だ。
日野晃’古希’ドラムソロコンサート
4月12日 大阪大丸心斎橋劇場
6月1日 新宿ルミネゼロ