他人の言葉でも

「人を馬鹿にしているような表情をしている」と当人に言う。
もちろん、当人はそんなつもりではないので「えっ」となる。
そういえば、数年前のワークショップに若い役者の卵が来ていた。
ベテランの平岡さんに連れられて受講したのだ。
その若い彼との会話の中で、たまりかねて「どうして俺とため口なんや、なんで上から目線の話し方やねん」と怒鳴ったことがある。
その時も若い彼は「えっ」だった。
知らなかったのだ。
人を馬鹿にしているような表情の彼には、写真を撮って見せた。
その彼は「ハイ」とは言ったが、どうもピンと来ていない感じだった。
ということは、人を馬鹿にしたような表情の人を見ても分からないということだ。
また、上から目線の彼も、上から目線の話し方をする誰かと、きちんと話をする誰かを聞き分けられないということだ。
そうなると、こちらがパニックになる。
「何で?」だ。
表情の彼は「武禅」受講者だ。
前回、散々皆にそこを指摘されていた。
今回、自分の写真を見て驚いたという。
「人を馬鹿にしているような顔を自分はしている」と知ったのだ。
ということは、前回から今回までの間、その事を自分の問題にして、日常を過ごしたのだろうと思う。
人は気付かなければ変わらないのだが、他人の言葉を自分の問題にすることでも変わるということの証明になった。
知識として頭に留めるのか、自分の問題にするのか。
そこにある差はエベレストよりも高い。
上から目線の彼は、そのままだ。
出版記念トークライブショー11月12日(土)午後2時~4時
http://2016hino.jimdo.com/
東京ワークショップ 11月21日‐24日
http://hinobudo.wixsite.com/workshop
98回武禅のレポートをアップしました。

https://www.hino-budo.com/buzen5.html

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