全ての身体動作は自動運動、だからどうするか。
「技」と言えば、当たり前のことだが武道に限ったものではない。
いわゆる技術は全て「技」である。
鉄工所の職人さん達の、大工さんの、工芸家の、つまり、頭脳労働以外の職業は、全て「技」で成り立っているということだ。
もちろん、厳密に言えば頭脳労働でも、考える技術が必要だから「技」だ。
しかし、そこまで広げると収拾がつかなくなるので、一応頭脳労働以外というだけだ。
しかしとはいっても、その技は全て頭脳労働と同期している。
つまり、どんな行為も「行為があるのではなく」その人の思考やクセが作り出した現れなのだ。
例えば、モノを持つという動作がある。
それは、下においてあるモノを持ち上げるとすると、かがみ込み、あるいは、膝を曲げてそのものを抱えて持ち上げる。
たったそれだけの動作だが、ここに腰を痛めたり疲れすぎたりする身体の動きがある。
一つは、足を踏ん張るのか、踏ん張らないのか、一つは肘を使うのか使わないのか、一つは、腰に力を入れるのか入れないのかである。
踏ん張るという動作は、固定観念の一つだ。
踏ん張ることで、全身が緊張し動きが悪くなる。
しかし、その踏ん張るが力を出したり、頑張る気持ちの現れだと知らない内に信じている。
だから、無意識的に踏ん張るという動作が身についてしまっているのだ。
そこから言えば、踏ん張るを無くすだけで、相当身体は緊張しにくくなるのだ。
奥歯の食いしばりと同じだ。
そして、膝に完全に注意を向け膝の曲げを伸ばすようにする。
すると、太腿への緊張が少なからず緩和され、同時に楽に立ち上がれるようになる。
最後は肘を使う事だ。
その事で腕の緊張が少なくなり、尚且つ実際としてモノを楽に持っている事が出来る。
こういった身体操作が「技」なのだ。
これらは解剖学的、あるいは、運動生理学的アプローチではない。
身体のポイントを認知することで働く、身体の自動運動を利用しているのだ。
もちろん、全ての動作は「身体の自動運動」だからである。
大阪ワークショップは9月22,23,24,25日です。
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