身体を動かす、身体を使う

脇腹を肋骨方向にストレッチし、肋骨も上にストレッチ、そして腋のストレッチ。
これらを行うには、そこを動かしてはいけない。
身体を動かす事が得意な人は、そのことが余り分かっていない事が多い。
身体を動かす事と、身体を使う事は全く違う。
身体を動かすことでのアスリートやダンサーがいるが、身体を使っている人はあまり見かけない。
その意味では、身体を使えなくても全く問題は無いということだ。
では何故、身体を「使う」必要があるのか。それは私が武道を探求しているからだ。
武道では、何をどうするのかが、全く限定されていないからだ。
つまり、相手が一人か二人か、それ以上かが分からない。
刀を持っているのか、槍なのか、弓なのか、全く決まっていない。
相手が何時攻撃してくるのかも決まっていない。
全てにおいて不確定なのだ。
その場合の身体は動かしす事で切り抜けることは出来ない。
動かすというのは、こちらの意志が直接働き、こちらが「何をするのか」がバレてしまうのだ。
ましてや組打ちになった時、一人なら競技のように身体能力の高さ、術の巧みさで打ち負かせるだろう。
しかし、同じ組打ちでも複数相手なら、そういう訳にはいかないのは誰にでも想像できる筈だ。
そこで気づいたのが、「相手の圧力や方向を的確に感じる」という能力開発だ。
いわゆる「感覚を研ぎ澄ます」ということで、しかもそれは、相手の力の方向と量だ。
その事で、相手とぶつからないようにしていく、ということが大事だと気づいたのだ。
「相手の力を利用して」とは、誰でも知っているような言葉だが、その実際を見たためしはない。
もちろん、約束があれば別だが、しかし、厳密にはいくら約束があっても相当難しい。
そんな中から「身体を使う」という気づきに繋がっていったのだ。

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