自分のことは知らないから
ドラムをやりだした頃、有名なアルト奏者に「日野くんのドラムは歌っているから、本当はメロ楽器が向いているのじゃないか」と言われた事がある。
自分の事は分からないのだ。
自分の事が分からないのは、「自分の思っている自分」が邪魔をするからだ。
自分の思っている自分からすれば、「ダイナミクスを表現できるドラマー、拍の最先端を突けるようなドラマーになる、そして、その事が出来ないまでも、その方向の演奏をしている」と「思っている」のだ。
だから、歌っていると言われても「はぁ~?」だ。
だがその時、「そうなんですか」と返事をし、内心今からメロ楽器への転向は無理だから、逆にその「歌うドラム」というのを伸ばそうと思った。
つまり、自分のことは分からないから、とりあえず信頼できるミュージシャンから言われたのだから、それはどういうことなのか?と、何時も書く頭の片隅に置いたのだ。
その時点で考えても理解できないし、もしも何らかの理解があったとしても、それはそのミュージシャンのものではない。
つまり、自分のレベルを上げるしか、それを理解する事が出来ないからだ。
常に自分よりもレベルの高い人がいる。
その事を忘れなかったら、その人は成長し続けるということだ。