雰囲気に左右される気分
夕方5時。
それこそ「あっ」という間に、マルセイユが終わった。
今日は、昨日より多かった。
その割に、昨日よりも雰囲気が良く、ワークはどんどん時間が過ぎて行った。
この辺りも面白い。
人は雰囲気という環境にも左右されてしまうという事だし、それが時間感覚までおかしくさせるという実際だ。
しかし、一番最初に「おねがいします」の挨拶をするが、それはパリやブレスト、ブリュッセルよりも大きな声だし、お願いしますと言いたい、という事が伝わって来た。
それが全員の気分の現れだから、その気分に影響されたのだ。
これは、受講者の意識というか心理というか、そういったところが閉ざされていない、
いわゆるオープンなこころということでもある。
だから、終始笑顔が絶えなかったのだ。
突きや蹴りはやはり人気があり、肘の一点を感じ取ることや、膝の抜けの話。胸骨を使うとどうなるか等々に食い付く。
稽古の組み立て方や考え方、相手との関係性。
深い話にも興味を持ち、どんどん食いついて来てくれた。
ただ、一つの動作の仕組みを知りたいという人もいるので、懇切丁寧に説明した。
これらは相当面白い。
というのは、説明を求められるから一から十まで説明する。
そうすると、さっぱり理解できないという表情になるからだ。
そうなると、彼等も、ある種の幻想の言葉を求めている事が分かるから面白いのだ。
「身体の技は、大体はありません。数学と同じで、これがまず出来なければ、次には進めないものですよ」とくどくどと説明した。
そして、日本の書道の話をし、その意味で、型が重要であり、それは身体を作る為のものである、とも話した。
午後からは、胸骨操作からの応用から始めた。
いわゆるマウントポジションで、両手を上から押さえつけられた状態からの脱出だ。
昨日紹介した私の2倍を超える体格の良い人を相手に見本を見せた。
どよめきと歓声が上がる。
スペイン国境の街からとかニースから、カンヌから、あるいは、ボルドーやパリと、皆宿泊しなければならない遠方からの受講は、文句なく嬉しいし有り難い。
最後は通訳をしてくれたユキミさんにも、大きな拍手を浴びせてくれた。
気持ちの良い人達が多くて良かった。
朝は5時30分に迎えが来る。
6時の列車でパリ・リヨンまで3時間少々。
そこらブレストは、4時間ほどの旅だ。