いきなり空気が濃い
「明鏡塾」は残すところ後1回。
そういう事もあり、かなり濃い空気感が漂っていた。
治療家にとって一番大事な事は「患者が直感的に安心を得ること」だ。
また、自分の触れている手、あるいは言葉は、実際に患者さんにどんな作用を及ぼしているのか、をリアルタイムで分かることだ。
決して、様々な一方的な「技術」ではなく、それを使える関係性にある。
それを「触れる」を一つの切り口として、訓練していくのが「明鏡塾」だ。
5回目ともなると、前回までの復習をしている時点で、かなりの集中度、つまり、相手に対する働きかけが濃い事が見える。
それだけでも、受講生の日々が散漫なものでは無いことが分かる。
部屋の空気がいきなり濃くなるのだ。
今回も、身体の不思議を体験しつつ、イメージが相手を巻き込んでいくこと、それを通して治療をしやすくすることを学んだ。
それを体感すること自体、そして体感しようという働きが患者さんに対する集中になり、「安心感」が湧き上がるのだ。
大方の人は、例えば「安心感」とすれば、直接的にその事が「ある」ように思っている。
しかし、安心感というのはこころの状態であって、画一的な何かではない。
だから、直接的にどうのこうの等どこにもない。
しかし、そういった「言葉」の分析や解析が行き届いていないから、どうしても言葉に振り回されてしまっている。
そこも治療を妨げる原因だし、自分自身の能力を発揮できない原因でもあるのだ。
次は一回目の「明鏡塾」最終日だ。
受講生達が、この6回で「何か新しい技術を獲得したのか」と言えば、そうではない。
そういったものは全く不必要なのだ。
また、いきなり能力を向上させる「秘伝を得たのか」と言えば、そうではない。
そんなものは古今東西どこを探しても無い。
だからそこを探す人は、永久にチルチルミチルである。
この6回、6ヶ月で受講生達は、身体、そして患者さんに対する集中を学び、その事が、自分の持つそれこそスキルを成長させて来たのだ。
若い理学療法士は、自分の職域がどんどん広がって来たといっていた。
それは、彼が接する患者さん達が、それぞれに彼を評価しているからである。
そうだ、そこが大事なのだ。
つまり、治療というのは、治療という切り口を持ち、社会と関わること、患者さんという人と関わることなのだ。
その事によって、自分自身の役目が変化したり、より深くなったりしていくのだ。
つまり、「明鏡塾」は、本当の意味での人間成長の実践的学びの塾なのである。
以前の感想文を一つ紹介すると
「手技や理論を提供してくれるセミナーやワークはたくさんありますが、それだけをいくらやっても「幹」はできないと思っていました。
投薬や手術で治療するのではないのですから、基本は人と人との関係性です。
それをどう鍛えるのか、どう向上させていくのか。まさにそのテーマに取り組んでいるのがこの塾だと思います。
この塾のすごいところは、稽古仲間が「お約束」ではなく、ちゃんとダメだしをしてくれるところです。
他のところで参加者に「ダメだし」されると「おまえに言われたくないよ」っていう感情が出てきてしまうのですが、明鏡塾にはそれがまったくない。
こんなに貴重な体験はありません。」
だ。