世紀の一戦

パッキャオとメイウェザー。
とんでもなく高額のファイトマネーだ。
つまり、それだけ観客を満足させるということでもある。
ボクシングそのものの魅力だけではなく、キャラも魅力的だということだ。
残念ながらライブで見ることが出来なかった。
結果をwebで見て、凡その想像は出来る。
もちろん、そんなことはどうでもよい。
最高のボクサーが一戦を交えたということだけで良いのだ。
そこで起こっている出来事を見ることは出来ても、何一つ実感する事が出来ないからだ。
大分前、雑誌の取材でムエタイ二階級制覇の元チャンピオンとお話させて頂いた。
元チャンプも刀に興味をもったらしく、様々な「技」の話で盛り上がった。
その時、距離や立つ位置の話になり、失礼ながら元チャンプの前に立たせて貰った。
彼は右利きだったので、右ストレートをリクエストし顔面に打ってもらった。
距離と角度という話だったので、私はその理論を見せた。
彼は素人の私に遠慮がちにパンチを打ってくれた。
理論通り私は動かないがディフェンスの腕に妨げられて、私の顔をパンチはかすめていった。
彼は「あれっ?」という顔をし、確かめるようにかなり強めのパンチを放ってきた。
もちろん、私は動かないし腕も動かさない。
そこで初めて彼は「どうして?」となった。
理論の話は別として、その時の強めのパンチは強いパンチ、重いパンチ、痛いパンチという区分けではなく、怖いパンチだった。
彼の二度目の強めのパンチには戦慄が走った。
彼はそのパンチで、二階級制覇をした。
そんなパンチが飛び交うリング。
みんな怖くなかったのだろうか。
つまり、そのリングでの心理状態や何が起こっているのかを、想像することすら出来ないということだ。
同じように、パッキャオとメイウェザー戦の中身はまるで夢の彼方である。

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