自分の力だけで
「触れる」というワークは、文字通り他人の身体に触れることだ。
「武禅」では感度の良い女性にセンサー役をやってもらい、全員が代わる代わる彼女の身体に触れた。
「あっ、ましです」という人を残していき、最後に誰が残るかをやってみた。
最初は、19人中5人ほどマシが選ばれ、回を重ねていくと一人残った。
しかし、触れる以前に近寄るだけで、「気持ち悪いです」と拒否される場合も多々ある。
その気持ち悪いには「嫌だ」という感じ、「不安になる」という感じ、「何も感じない」の3種類があったという。
これは当たらずとも遠からずだろう。
もちろん、もっと敏感な人がセンサーになれば、結果は変わってくる。
医療の現場では、関係者は必ずといってよい程、患者さんの身体に触れる。
「武禅」や「明鏡塾」は稽古の場だから、「気持ち悪いです」と明確に表現し、やり直しが許される。
しかし、それが医療の現場ではそういう訳にはいかない。
何時も一発勝負だ。
しかし、これは手先の技術ではない。
逆に手先の技術だと違和感がつきものでもある。
自分自身が相手に違和感を与えない人間にならなければ、あるいは、今行う行為に対して、意識的ではないようになる。
そして、相手を感じ取れるようにならなければ出来ない。
「武禅」や「明鏡塾」では、その入口、そしてヒントを知り、自分自身がアプローチし、自分自身で獲得出来るように指導をしている。
どんなことでも、自分の力で獲得すること、それだけしか自分の力を付ける方法はない。