フランクフルトから帰国
最後の最後のワークを終え、カンパニーのダンサー達全員と別れを惜しんだ。
最後の昼食を安藤さんの部屋でいただき、午後4時タクシーが迎えに来てくれた。
何でも今日の朝も雪で、道路はかなり渋滞したようだ。
チェックインカウンターに行くと、日本人ツアー客が沢山いたので、プレミアム・エコノミーにアップグレードし眠れるようにした。
それが功を奏し、機内では熟睡したようである。
眠いの眠くないのか分からない時差ボケの状態で成田から電車に乗った。
直ぐにファブリズがワークショップで京都に来るし、安藤さんも月末には帰国する。
私にとっては、良い刺激になった今回のフランクフルトだった。
何よりも驚いたのは、ベテランのヨネさんだ。
ベジャールの学校を卒業後、色々な有名ダンスカンパニーで活躍した後、フォーサイスカンパニーに入った。
彼女は肩関節も股関節も亜脱臼しているのではないか、と思えるほど可動領域が広い。
とにかく柔らかいのだ。
だからダンスは、それを活かした動きが多い。
2005年に初めて私が招聘され、カンパニーでワークショップを開いた時、その柔らかさを止める事もしなければ、身体に刺激を感じることが出来ないし、繋げて使うことも出来ないとアドバイスした。
その後、工夫を重ねていたのを知っていたが、今回それが明確に現れていた。
身体の緩みを止めるという事が、完全に出来るようになっていたのである。
これには正直驚いた。
ベテランダンサーで、別段私の言うことが出来なくても、十二分に自分の身体の個性を活かし踊ることが出来る。
にも関わらず、私の指示にしたがってくれていたのだ。
その事が、今後の彼女のダンス生活を新しいものにしていく。
彼女もそうしたかったのだ。
ベルリンで40歳以上のダンサーを集めたカンパニーが起ち上がり、彼女はそこに所属する。
きっと、また新しい境地を確立するだろうし、決して止まることは無い筈だ。
それこそ、アーチストである。