どうしてこうも難しいの?

同じくマルセイユでの質問の時、「どうしてこうも難しいのか?」というのがあった。
その質問で大爆笑が起こったが、全員頷いていた。
「今直ぐにできること、誰にでも出来る事が出来て嬉しいのですか?誰にも出来ないような高度な事が、出来るようになる方が嬉しいでしょう」と答えると全員頷いていた。
その証拠に、パリなどは教えに行きだしてもう8年目になるが、一番最初は別にして、その後の受講生の数は増えても減らない。
1クラス大体70名から80名はいる。
8年目に入っても何も出来ないのだから、普通は諦める。
しかし、最初から残ってくれている人は、本当に熱心だ。
今になりやっと理解できて来た、という事を喜んでくれている。
そんな人達は、ブリュッセルやマルセイユにも足を伸ばして受講してくれる。
ダンサーのマーツ等は、スイスからフランスやベルギーにまで来る。
今夏のスペイン・バレンシアでの1周間のワークショップももう申し込んでくれている。
しかし、これは不思議なことに、外国の人よりも日本人の方が諦めが早い。
出来ない、あるいは理解できないとなると、さっさと諦め「出来る事」の方、自分にとって分かりやすい方に進む。
もちろん、そうではない人も極々少数はいるが、大方は「現在の自分」の解釈を優先する。
つまり、現在の自分が分かるか分からないかで、物事を判断する。
だから、私が提示するような高度な身体技術系は、敬遠される傾向にある。
現在の自分が分かること、ということだから、当然そこからの成長を自分の手で諦めさせている、ということになる。
分かること、出来る事をやるだけ?
もちろん、それはそれぞれの人の自由だし選択権があるのだから、私にすれば手の届かないことだからどうでも良い。
やっていることの正誤は別にして、外国の人の熱心さには、こちらが嬉しくなるほどだ。
私が提示した事を、一生懸命に取り組んでくれる事をほんとに有難く思う。
そんな気持ちに誘ってくれる、外国でのワークショップの雰囲気が好きだ。
武神館の初見宗家や先日お亡くなりになられた大東流の岡本師が「外国の人は熱心ですから、うかうかしていたら、日本の文化は外国に持って行かれてしまいますよ」とおっしゃっているが、本当にそれは体感する。

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