さようならパリ

午後5時30分、パリでのワークショップ、今回のワークショップツアーは終わった。
お疲れ様、である。
真新しい電車に乗り、北駅へ向かった。
小汚い北駅には似合わない程、きれいな電車だった。
北駅の向かい側に有る、伝統のあるレストランへ入った。
大きなオルゴール式の自動ピアノが置いてあった。
ギャルソンがテキパキと動いている姿は気持ちが良い。
舌平目のムニエルを注文した。
ギャルソンが調理前の舌平目を見せにきた。
きれいな色形だ。
ワークショップの無事終了を祝ってシャンパンで乾杯。
今日は縦系の連動や、体重移動の多人数がけでと、朝から色々と遊んだ。
リヨンから初参加の居合と合気道の師範。
生徒を連れての参加である。
そんなオープンな気持ちを持った人がいるのも、ヨーロッパならではだ、かな?
この師範のキャラがまた良かった。
長身で細身、渋い二枚目だ。
そして、いじりがいが有るのだ。
ユーモアのセンスも抜群だから、楽しい会話が出来た。
そして、マーツやエルビス兄弟がいたので、パリでは疲れたという感じは湧いて来なかった。
ファリドもマルセイユから来ていた。
稽古をするにはルールが必要だ。
我慢比べをするのではなく、技術を知りそれを見に付けて行く、という目的もあるからだ。
常連の人や、初めての人でも周囲を見れたり、勘の良い人は言われなくてもする。
しかし、そうではない人には注意をしなければ、我慢比べをする。
しかし、注意をされてもしない人もいる。
それは自分が相手に対して、何をしているのか分からない人だから仕方が無い。
悪気も無い。
何も分からないだけなのである。
色帯を締めていた。
夢遊病者のような若者もいた。
ヒョロッと背が高く、目が泳いでいて、言葉はハッキリしない。
今すぐに病院へ行け、というような若者だった。
しかし、面白い事に日本語で自分の感じた事くらいは話す。
このギャップがたまらなく面白い。
縦系の連動は、誰でも苦戦をする。
一人の女性が出来ない事にいらだっていたので、デビット達のところに連れて行き、彼らは何年縦系の連動を練習しているのかを話させた。
もちろん、時間の長さは関係なく出来る人もいるし、何年たっても出来ない人もいるから、時間はあてにはならないが、総じてそうは簡単には出来ない。
女性もデビットの話に納得していた。
しかし、以前から気になっていたのだが、「コンタクト」と言う言葉を頻繁に使うのだが、どうもその意味が私の思っているのと違うようだ。
ただ単に、相手に触れるでその言葉は成立しているようだ。
マーツは、もちろん私の言う意味のことは、身体で理解している。
しかし、理解出来ているのは、彼女一人。
それを思うと、言葉としての「コンタクト」の意味、そして、それこそが現代における武道の本質だということを、明確に皆に伝えて置く必要があることを痛感した。
正午にレオさんが迎えに来てくれて、夕方日本に向けて発つ。
第90回武禅一の行 3月21.22.23日
https://www.hino-budo.com/buzen4.html

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