パリ
パリ。
名前は知らないが、東駅付近で川のほとりにあるホテル。
そこがここ数年定宿にしているホテルである。
昨日は、寒いと言ってもまだ暖かく、太陽も顔を出していたので、その川のほとりは半そでの若藻や、ゲームに興じるお年寄りで溢れていた。
パリへの列車は、ほぼ定刻にパリ北駅に到着した。
駅前のタクシーに乗り込み、郊外にある会場に向かった。
定刻15分前。
会場前には、熱心な人達が溜ってコーヒーを飲んでいた。
「先生、大丈夫ですか」嬉しい声をかけてくれる。
一服済ませ、会場内へ入る。
受付には、数年ぶりに会うマーツがいた。
声をかけると「ヒノ~」と大はしゃぎ。
彼女も今やお母さんになっている。
ここでも肘のワークを繰り返した。
昼からは、会場の都合でパリ市内に戻る。
車でホテルまで送って貰ったのだが、この地区に油断は禁物だった。
もちろん、そんなことはフランスの人なら、きっと誰でも知っている。
車の主も知っている。
しかし、昼食をみんなでとり、車に戻ったら、その油断が現実として起こっていた。
窓ガラスが破られ、携帯電話が盗まれていたのだ。
主はうっかり携帯電話を車中に残していたのである。
警察や携帯の会社に連絡と、緊急対処に時間は慌ただしく動いた。
夜の稽古は、その地区にある学校の武道場を借りれた。
一体何人いるのだ?
というくらい、相当数の人がいた。
初めての顔が沢山あるので、体重の移動から始めた。
例によって頭を混乱させながらのワークは、瞬く間に過ぎていった。
夜は、希望者30人程度と食事会だ。
武道の話人生の話に華が咲いた。
マーツは子育ての話。
最近やっと手が空いてきたので、武道の稽古を再会したいとウズウズしているという。
東京のワークショップには行くから、スケジュールを教えて欲しいといっていた。
思えば、マーツとはフォーサイスカンパニーで会ったのが、9年前になる。
23歳だった。
目をくりくりさせ、私のワークに茫然としていた姿を思い出した。
もう10分もすると、レオさんが迎えに来てくれる。
今日は、郊外の会場だ。
第90回武禅一の行 3月21.22.23日
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