フランス人だから

ホテルで初めてのルームサービスをとった。
暖かいスープである。
その前は夕方4時に食べただけから、さすが12時になるとお腹が減る。
鴨肉、ターキー、地元のソーセージやハム、ハンバーグ、野菜、といった鉄板焼き。
ボリュームある食事は、おかげでコントロール出来た。
私が小食なので、気を使ってくれたのだ。
しかし、この家の主の仕事は何だ?と思わず詮索したくなる。
道場にあるストーブのオーダーメードのような、スマートな薪ストーブに火が入り、何とも言えない暖かさを演出してくれている。
壁一面の大きな窓の外には、馬が7頭、ひつじもいる。
白い壁と古木で統一されたリビングだ。
誰もがうらやむような、広々として清潔感溢れるオープンキッチン。
ロッキングチェアーのように、クッションが効く椅子に座って、出されたコーヒーを飲んでいると、時間も場所もぶっ飛んでしまう。
心地よい睡魔も襲って来る。
チェリーのビールのせいだ。
一服してから、ワークショップ会場へ向かった。
前回もそうだが、ブリュッセルから150キロ程離れた田舎の村で、50人ほど集まるのだから凄い。
上半身のストレッチから、胸骨、片手取り、両手、片手掴みから肘の変化、肘の変化の突きへの応用。
次から次へと、稽古という考え方を展開した。
パリからもアムステルダムからも、何時も見る顔が来てくれていた。
一つ、嬉しい話を聞いた。
心臓の手術をした人が胸骨操作で、その回復がすこぶる早いと喜んでいたそうだ。
肋骨を切開し、心臓の手術をする。
術後その肋骨を閉じるが、それを繋ぐのに金物を使う。
当然、肋骨の自然な遊びは制限される。
その構造に対して、胸骨操作をすることで、自然な遊びに回復していっているそうだ。
その事が、精神に影響し体調がどんどん良くなっているのだ。
「よっしゃ~!」だ。
そう言えば、マルセイユでも似た話を女性から聞けた。
乳癌後のリハビリに胸骨操作を取り入れたら、回復が相当早くなったという話しだった。
元気に道場で暴れてくれていた。
今日で、ベルギーは終わりだ。
明日は早朝パリへ列車移動。
その足で会場迄タクシーで乗り込む。
これも綱渡りだ。
列車が遅れたら開始時間に間に合わない。
日本人としては、そのスケジュールに不安を感じるのだが、フランス人は何とも思っていない。
フランス人だから。
第90回武禅一の行 3月21.22.23日
https://www.hino-budo.com/buzen4.html

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