パリ・オルリー空港にて

パリ・オルリー空港でブレストへの乗り継ぎを待っている。
初めてのフランスもオルリー空港だった。
35年くらい前だったか、当時の飛行機は喫煙席があった。
ソウルで7,8時間待ちでオルリー空港に飛んだ。
私も今よりは若かったが、若い人達が沢山乗っていた。
コックの修業をするという若者、フランス語を学ぶという若者、あちこち回るという若者。
私はアムステルダムでフリージャズのドラマーとセッションだ。
と、呑気な事を書いている場合では無い。
昨日、マルセイユ発ブレスト行きに、どういう訳か乗り遅れたのだ。
午後4時50分発だから、私はファリドに連れられて3時には空港にいた。
搭乗のサインが出ていないからと、コーヒーを飲み武道の稽古の話に熱中していた。
途中で、ワークショップに参加してくれていたジョンも加わり、盛り上がっていた。
アナウンスが有る度に、耳を傾けていたが、ブレストという名が呼ばれない。
ファリドもジョンも首を傾げながら、アナウンスを待った。
チェックインをしていない事が心配だったが、フランス人二人がいるから大丈夫だろうと、ゆったりしていた。
出発30分前になっても、アナウンスが無い。
ファリドがカウンターに行くと、搭乗手続きは終わったという。
「どういうこっちゃ」
慌てて手荷物検査へ。
バッグは預ける事を前提に詰めているから、当然お土産のリキュールも入っているから引っ掛かる。
そこで気付いたのが、バッグの鍵が見当たらないのだ。
それで一悶着。
結局、バッグはファリドに送って貰うことで、私は搭乗ゲートへ。
ブレストと書かれた待合の前に行く。
どうなっているのか心配だったが、何のアナウンスも無いので、しばらく椅子に座る。
すると目の前を見慣れたバッグを持って、何かの係官が通り過ぎて行く。
「ちょっと待って、それは俺のやで」
「日野か、飛行機は飛んだで」
「はぁ?」
バッグを持って外に出ると、ファリドとジョンがいた。
「何でや?」
後はフランス語が延々と並ぶので、さっぱり分からないが、とにかく飛行機は飛んでしまったということだ。
ファリドは青ざめていた。
「人生ってこんなもんやで」
仕方が無いので、マルセイユに戻りホテルをとった。
で、早朝、マルセイユからパリ・オルリーに着いたのである。
だから、今は乗り継ぎゲートでボーとしている。
オレンジーナのフランス版。
空港内とはいえ3€50㌣は法外だ。
今日は、無事にブレストに着いた。
といっても当たり前だが。
ブレストで昼のワークを終え、次は夜。
ブレストは会場が合気道の道場と言う事も有り、合気道の人が多い。
もちろん、何だか分からない人もいる。
得体の知れない軟体動物のような、まあ病気だろう、としか言いようが無い組もある。
胸骨での体重移動をやっていても、中々ユニークな動きをする。
私を受けを取り、ピリッとも動かないので、徐々に気持ちの悪い動きが消えて行く。
よくある事だ。
第90回武禅一の行 3月21.22.23日
https://www.hino-budo.com/buzen4.html

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