記憶
山は氷点下、一挙に冬に突入。
こうなると屋根の修理が難しい。
特殊な材料を使っているので、温度が必要なのだ。
とにかく、少しでも気温が上がるのを期待して待つしかない。
昨日の大阪の稽古の帰りは、高速道路が通行止めの為、有田から龍神温泉に抜けるルートで帰った。
昼間は車も少なく最高の道なのだが、夜は老眼ということもあり、高速道路の数倍は疲れる。
しかし、昨日は速度を10kmほど落とし走った。
そうすると意外と疲れもさほど無く帰れた。
それは、一つに道を完全に覚えている、というのもあると思った。
ナビなど使わないから、風景や建物を自然と覚える。
それが蘇るから、道を走るのが楽だった。
その意味で、人間はやはり記憶の動物なのだろう。
自分の名前を覚えているから、自分と認識できるだけで、その記憶が飛んでしまえば訳が分からなくなるのだろう。
友人が脳梗塞で倒れた時、子供の名前は直ぐに思い出したそうだが、奥さんに「誰?」と言い続けた、と奥さんがこぼしていたのを思い出した。
もちろん、完全復帰しているからの笑い話だが、人はそれほど危ういところを生きているということだ。
自分にとっての頼みの綱は記憶だけだからだ。
最近、物忘れがひどくなって来ている。
それを周りの者に言うと、「どうでもいいことだから、覚えようとしないのでは」と言う。
その通りかもしれない。
どうでもいいようなことは、どうでもいいからだ。
考えなければならないことだけに集中できる。
おかげで、毎日が新鮮だ。