美味しいパン
今日は1年ぶりに新宮から勝浦の方に行った。
道中は、まだ2年前の傷跡が、生々しくそのままに放置されていた。
山が崩れ川に大きな岩が転がっている。
また、あれくらいの雨が来ると、もっとひどい水害が起こるだろうと、誰でも分かる。
川底は、土砂で1m以上かさ上げされた状態のままだからだ。
本部に来るスペイン人を訪ね、久しぶりに勝浦の「コッペ」さんというパン屋の、職人さんも訪ねた。
もう70歳だが、どう見ても50歳代にしか見えない若々しさだ。
この職人さんと話をするのは、本当に楽しい。
それこそ、酵母に生命を賭けていると言っても過言ではないからだ。
食事をご馳走になった。
10数年前に、私が新宮で教室を始めた時に通ってくれたのが、初対面だ。
その頃は、パン生地の運搬で、腰が完全に壊れていた。
それを体操と姿勢の矯正で完治させた。
その頃から、この職人さんの口癖は「身体で面白いですね」になった。
今日は「日野さんと出会えなかったら、今頃パンを焼いていないと思います」と、しみじみと語ってくれた。
感じる、というキーワードを持つようになり、パンの味も良くなったと、その頃聞いた。
今後は、石釜を使い、また近隣の果実もつかい、何かカフェのようなものをしていきたい、と嬉しそうに話してくれた。
「職人になって良かったと、つくづく思います。それこそ死ぬ間際まで働けるし、勉強できるでしょう」
このパン屋さんは、相当変わっている。
もちろん、世間と変わっているだけで、余程人生の本質を捉えている。
パン屋さんをやりだした時、週休2日制をとった。誰でも休まずに頑張ろう、と思うのだが、この職人さんは、将来を見越して、つまり、年齢を取り体力が衰えても、ずっと変わりないペースで働けるようにと、週休2日にしたのだ。
また、酵母に拘っているから、出来上がってくるパンは美味しい。
だから、評判が評判を呼び、店は繁盛してくる。
そうすると、大手のホテルから、注文が来るようになった。
でも、ペースを乱すと、パンの味が落ちると、断るのだ。
頑固一徹、職人そのものなのだ。
だから、美味しいパンになる。
「国産の小麦は素晴らしいですよ、粉を触っていたら幸せになります」
未だに、私が教えた体操をやってくれている。
そんな人がいてくれるから、伝えるのを止められないのだ。
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