一寸待って、悟りが買える？

何やら「悟り」が買えるらしい。
しかも、それを手に入れると、人に悟りを開かせる事ができるそうだ。
？？？？？
自分自身の能力というか、性能というか、もっと曖昧に言えば、人柄というか、とにかく言いようがないが、自分自身だけにしか獲得できないものが、お金を払ったら身につくという。
誰が信じる？
草野球以下のレベルの実力しかない人が、お金を払い1か月足らずの講習で、メジャーでいきなりホームラン王になれるか？
そして、同じく草野球以下レベルの人をホームラン王に出来るという。
アホか。
少し頭の良い、小学生ならきっと「そんなあほな」というだろう。
そんな単純な事も理解できない人間。
そういった即席スーパーマン願望の人は昔からいる。
ジャズドラマーの時、左手が右手のように動けるようなるのなら、いくら払っても構わない、という冗談が飛び交っていた。
右利きの人の左手が、右手と同じように、あるいは、右手以上に独立してコントロール出来るようになるには、一朝一夕で実現できる筈も無い。
そんなことはドラマーなら誰でも知っている。
だから訓練に次ぐ訓練をするのだ。
たった、それだけの事でも数年、あるいは数10年掛かるのだ。
それをお金を払い1か月足らずの研修で出来るようになる。
アホか、なる訳ないやろ。
もちろん、ここには大きな罠がある。
それは、ホームランを打つというような具体的な事ではなく、精神世界という目に見えない世界の事だからだ。
しかし、精神世界は目に見えないのではない。
具体的に誰にでも見る事はできる。
それは、そういったことを語る人の顔を見れば良いし、声を聴けば良い。
そこに嘘か本当かの答えがある。
もちろん、それも自分自身が見抜く目を持つかどうかなのだが。
そういった事を好きな人は、ずっとずっとその方向に進む。
知り合いの人は、家数軒買えるくらいのお金を、そういったことにつぎ込んでいる。
何10年もの間だ。
その人をよく知るが、数十年前と何一つ変わっていない。
どんな思考回路をしているのか。
いつもそういった好奇の目で見ている。
これだけ極端だと、「何じゃこれ」と思う人もいるだろうが、どんなことでも即席で、しかも人の上に立ちたい、という欲求の多い人は、これに引っ掛かる。幾つ何十になっても懲りないのだ。
そんな人は、ある意味幸せだ。
家を数軒買えるくらいのお金を稼いで、霧のような事にお金を使い、そのお金を使っている間は夢を見る事が出来るからだ。
その人も同じだが、俗世間というか、今我々が住んでいる世界に戻ってくると、そのギャップに生きるのが苦しくなる。
一種の禁断症状が出るのだ。
当たり前だ。
で、また次の即席を探す。
PCの速度が遅い。
であれば、もっとグレードの高いものを買えばよい。
あるいは、そういったことに詳しい人に聞き、手立てを講じれば良い。
自分という人間そのものを見つめ直す必要も無い。
しかし、自分という人間のグレードを上げる、という時に、自分を見つめ直さなくて出来る事等絶対に無い。
なぜなら、自分の何をどうグレードアップさせるのか、が分からないのだから。
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