褒めて育てる?

褒めて育てる、という方法が良いらしい。
そうなのか、私には分からない。
何しろ褒められた体験など、あったのだろうが、殆ど覚えていない。
ただ、仕事でうまくいった時に、「いけるで」程度の言葉だが、かけられて嬉しかったことは覚えている。
嬉しかったというのは「よっしゃ~」という感じだ。
問題は、褒められるレベルと、褒める人は誰か、だ。
お前には褒められたくもない、というのもいくらでもある。
分かった風な奴に褒められても、腹が立つだけで嬉しくも何とも無い。
私が始めて褒められたようなことは、喫茶バーテンをしていた頃だ。
見習いから、中習程度に経験を積み、コーヒーを始めてたてさせてもらった時だ(拙著 常識を打ち破れ…、に書いている)。
たてるといっても、50人前たてるのだ。
たて終わって、チーフが味見をする。
「日野君これあかんわ」
という間もなく、たてたてのコーヒーを、シンクに流された。
「えっ」という間もなかった。
ボーとしてたら、
「日野君、何をボーっとしてるんや、はよたてな間に合わないで」とせかされ、二回目のチャレンジ。
「あかんわ」また、シンクに流された。
100人前の損を出してしまったのだ。
で、チーフが変わってコーヒーをたてて、その場を乗り切った。
そんな日が何日続いたか忘れたが、何十日目かで「これはいける」とチーフに言ってもらえた時は、心底嬉しかった。
褒められるとは、そんなことだ。
しかし、もっと上がある。
先日の鮨の映画で、そこの板前さんが何年かして、やっと卵焼きを作らせて貰った。
焼き上がり、二郎さんが食べる。
「やり直し」卵焼きが焼きあがるまでに6ヶ月掛かったそうだ。
「これは出せる」と二郎さんに言われた時、同時に二郎さんから「これで職人さんや」と言われた。
涙がこぼれたそうだ。
影でガッツポーズをした。
褒められる、褒めて育てるというのは、こんなことだと私は思う。
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3月16日東京。詳しくは下のwebページで。
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