フォーサイス4
イースターはさすがに街はガランとしている。
肉も駄目、音も駄目だ。
スタジオでエイミーが「日本では祝日があるのか」と聞くので「もちろん、でもドイツや外国のように、店が休みではないよ。逆に店が増えるくらいだ」と答えた。
外国人には奇妙に見えるらしい。
残すところ今日を入れて2日なので、ワークはどんどん難しくして行く。
それに連れて集中力が高まる。
息も出来ない程の空間の密度になる。
新人たちは「こんなに集中したのは生まれて初めてだ」とグッタリ。
「今、ここで展開しているワークは、世界の誰も出来ない事をやっているのだから、安心して間違えろ」
というと、全員「そうなのか」という安堵の表情に変わった。
あっという間に夕方6時。
8時からパーティだ。
以前いったポルトガル料理の店だ。
8時過ぎにゾロゾロと全員集合。
フォーサイスもディナも来てくれていた。
今回の話題は、2005年に私が初めてカンパニーに来た時のことで盛り上がった。
ディナが
「日野と誰だったか向かい合い、日野が意識を動かしたら相手が傾いた。それを見ていて、フェイクだと思い、日野に向かい合っている人の後ろに立ったら、動かされてしまい驚いた」と大笑い。
そんな話を新人たちは、目を輝かせて聞いている。
その好奇心の旺盛さに驚かされると同時に、私まで嬉しくなった。
少なくとも、彼らの身体の片隅に、私との記憶が残って行くのだから。
しかし、折角食事をしに来たのに、食事が出て来たのは3時間後の11時だ。
フォーサイス達は、余りの空腹に食事もとらずに帰宅してしまった。
その後は今回のワークショップの印象や、ファブリズ自身がどう成長したかなど、結構シビアに盛り上がった。
フォーサイスが友人を連れてワークをのぞきに来たらしい。
その時フォーサイスの友人は、ダンサー達がこんなに集中しているのを初めて見たと驚嘆していたそうだ。
その後は抱腹絶倒、ものまね大会となった。
ワークを受けている時の表情を、皆が真似をするのだ。
それが見事に的を捉えているので、大笑いの連続だった。
ロシア人のカティアも真似をするのがうまい。
安藤さんの真似からヨネの真似。
とにかく大笑いだ。
黒人のジョシアは、シャイで笑っているだけ。
彼はまだ若いがアルビン・エイリーバレエ団からカンパニーに来たそうだ。
リハで見せる驚異的なジャンプ力には唖然としたものだ。
そのジョシアもカティアも来年日本で日野のワークをもっと受けたいと、具体的にチケットを探し始めている。
「本当に来るのなら、特別なワークショップをするよ」
横で聞いていた島地君も「じゃ、僕も」安藤さんも来たいと言う。
2005年に初めてカンパニーの若手が来た時の再現になりそうだ。
深夜2時、酔いも回りお開きとなった。
今日で最後だから、もっとスペシャルな身体を見せてやろうと思っている。
4月20日からの京都ワークショップ
「身体と向かい合う3日間」のお知らせ
https://www.hino-budo.com/2012-KYOTOWS.htm